2025春夏のファッショントレンドはクワイエットラグジュアリーから脱却し、ポップカラーや柄物、レースなど「マキシマリズム」が台頭。ヘアカラーも落ち着いたブラウン系人気はそのままに、またブリーチカラーが主力に戻ってきそうだ。
ライフスタイルの変化が訪れるこの時期、オーダーの増えるトーンアップ・トーンダウンカラーの技術ポイントを<punel>(プネル)代表の齋藤 剛さんと、姉妹店<SOL.valor>(ソル バロール)トップスタイリストのAYANOさんに聞いた。


他店にて暖色系ヘアカラー2回の履歴、ボルドー系の残留。過去のフェイスフレーミングデザインも残っており、顔周り・根元・中間・毛先と全体的に色ムラ。
トーンアップは、ブリーチありのイメチェン需要が再び高まっている。新生毛への対応、履歴を考慮したブリーチの薬剤選定、ブリーチムラをなくすための薬剤選定が難しい。さらに今回のモデルの場合、中間部分の赤味が強い。AYANOさんがサロンワークでよく使っているという、ブリーチ1回+追いブリーチ(薬剤の選定は1回目と変える)でムラのない仕上がりを目指す。

【ブリーチ1回目】
1剤/クオルシアブリーチ(フィヨーレ):クリア0(フィヨーレ)=3:10%
2剤/マルチOX6% 2倍(ソル プロダクツ)
【追いブリーチ】
1剤/クオルシアブリーチ(フィヨーレ):クリア0(フィヨーレ)=1:10%
2剤/マルチOX6% 2倍(ソル プロダクツ)
【オンカラー・根元(~6cm)】
キャラデコ(中野製薬)
1剤/CLEAR-t(クリア):C beige/c(カームベージュ):silver/l(シルバー):C plum/c(カームプラム)=2:1:5%:2%
2剤/OX3% 等倍
【オンカラー・中間~毛先】
オルディーブ アディクシー(ミルボン)
1剤/13-Clear(クリア):9-S-Topaz(スモーキートパーズ):7-Silver(シルバー):7-LA-pearl(ラベンダーパール)=3:1:10%:2%
2剤/OX3% 等倍

柔らかで透け感のある仕上がり。中間部分の残留と全体の色ムラを、ブリーチ+追いブローチの塗布量で調整するため、粘度を2剤で調整している。
オンカラーは、赤味が全くない根元(~6cm)は、くすみすぎないように柔らかいカームベージュを使用。毛先は根元に比べて今までのカラー残留(赤味)があるので、アッシュ系のスモーキートパーズで赤味を打ち消すレシピに。

赤味が強く、全体的にムラのあったビフォアから、ブリーチ+追いブリーチ、オンカラー計4時間で「透明感ミルクティベージュ」へトーンアップ。キュートな印象から、ラグジュアリー感のあるクールでモードな雰囲気へチェンジ。

- Profile
- AYANO
SOL.valor(ソル バロール)トップスタイリスト
1996年生まれ、徳島県出身。神戸市内1店舗を経て2023年SOL.に参加。2024年10月より新店舗valor店へ異動。20代女性客を中心に、海外からの顧客も多い。ブリーチ率は9割以上!
- Instagram : @ayano_hair_


➀根元、②根元2~7cm程度、③~毛先と、ダメージレベルがちがう。③はブリーチ毛。②・③の間で色差もある。
トーンダウンは、韓国アイドルの影響を受けてブリーチデザインから暗めに戻すオーダーが増えている。残留色素やダメージ度合いなど、履歴を読み解いた上での薬剤選定が難しい。今回、ピンク系のグレーベージュの仕上がりを目指すが、新生毛部分の薬剤設定でオレンジ味を出さずに明るく上げ、ダメージの少ない中間(根元2cm~7cm程度)と、ブリーチ毛の毛先(根元7cm~毛先)を3カップで塗り分ける。

【根元】
オルディーブ アディクシー(ミルボン)
1剤:7-S-Topaz(スモーキートパーズ)
2剤:マルチOX6%:マルチOX AC2.4%=1:1 等倍(ソル プロダクツ)
【中間】
キラテラ(b-ex)
1剤:9/S-Milk tea(ステラミルクティ):9/D-Grey(ダスティグレー):C-Pink Violet(ココピンクヴァイオレット)=2:1:10%
2剤:マルチOX AC2.4% 等倍(ソル プロダクツ)
【中間~毛先】
キラテラ(b-ex)
1剤:9/S-Milk tea(ステラミルクティ):9/D-Grey(ダスティグレー):C-Pink Violet(ココピンクヴァイオレット)=3:1:10%
2剤:マルチOX AC2.4% 等倍(ソル プロダクツ)
流しはすべてパープルシャンプー(ソル プロダクツ)

ツヤ感のある、ピンク系グレーベージュの仕上がり。根元の新生毛部分は、2剤を6%:2.4%=1:1で7レベルまでリフトさせないよう調整している。ダメージの少ない中間とブリーチ毛の中間~毛先部分は、アルカリカラーと低アルカリカラーの比率を調整、トーンダウンさせるため2剤を2.4%に設定している。
Beforeの黄味の強い色味からグレーベージュにトーンダウンする際に出やすい、緑色の色味を減らすために、流しでパープルシャンプーを使用。

新生部2cm、ダメージレベルの違う中間、毛先を3カップで塗り分けて、ピンク系のグレーベージュへトーンダウン。クリエイティブな雰囲気のハイトーンカラーから、モードで大人なスタイルへチェンジ。

- Profile
- 齋藤 剛
SOL/PUNEL
都内1店舗を経て2021年に独立。東京5店舗、名古屋1店舗、FCサロン4店舗を展開。美容商材メーカー「SOL.PRODUCTS」代表、ヘアカラー専門のオンラインサロン「SKILLS」主宰。
- Instagram : @tsuyoshi_saito

- 執筆者
- 増田 歩
「CHOKi CHOKi」「Ocappa」「BOB」 etc.からのフリーランスライターです。ボブとショートをいったりきたり、趣味にしたいのはヨガ。