PMSに悩む女性美容師、必読! コンビニご飯でもできる体調ケア
忙しい美容師にとって永遠の課題ともいえる食生活。料理をする時間がなくても女性の身体に大切な栄養素を摂れる方法がありました!
フェムケアに限らず体調ケアの基本は「食生活」。
知ってはいても忙しい日々の中では、どうしても食生活が雑になりがちですよね。
でも、考えてみてください。
毎月、月経がある私たちの身体。それを順調に継続するだけでも、身体にはさまざまなストレスがかかっています。
そう、女性の身体は見えないところで毎月、毎月、とてもがんばってくれているんです。
だから女性には女性のための食事によるケアポイントがあります。
今回それを教えてくださるのは、管理栄養士の浅野まみこさん。
女性の身体に必要で、なおかつ不足しがちな栄養素を補うポイントをピックアップしていただきました。
生理前の女性の身体はストレスフル
女性ホルモンを増やす食材、整える食材といった言葉を時々目にしますが、実際は「食事によって直接的に女性ホルモンを調整することはできない」のだそう。
では生理やPMSなどの諸症状に対して、食生活の改善を勧められるのはどうしてかというと…
「PMSや貧血といった女性特有の症状、不調のケアに、食事が強い味方になってくれます」(浅野さん)
特に意識してケアをしたいのが、女性ホルモンのバランスが大きく変動する排卵期から月経までの期間。
普段以上に身体にストレスがかかっているこの時期に、栄養面から身体をケアをしてあげることで、PMSの諸症状をやわらげる助けになってくれると話します。
月経前の時期の身体の状態
ところでPMSの症状は、生理中の症状に比べて人によって出方がさまざま。排卵期から月経までの期間の私たちの身体は、いったいどんな状況なのでしょう?
「プロゲステロンが多く分泌されるようになる黄体期の前期は、子宮内の環境を妊娠に向けた状態につくり上げている時期です。身体も妊娠に備えて栄養を確保しようとしているので、食欲が増したり、甘いものが欲しくなったりする人もいます。
また排卵が行われるとともに、幸せホルモンとも言われているセロトニンの分泌が減少するという報告もあります。そのため甘いもので糖を摂取して一時的にバランスを取ろうとする場合もあると思いますし、落ち込みやイライラなど感情の不安定さにつながる人もいると思います」
この時期、身体は栄養を欲しているため、しっかり食べて、最低限の栄養、エネルギー量を摂ることが大前提。
そのうえでこれから紹介する栄養素や食材を摂り入れることを意識していくのが良いでしょう。
気持ちの安定を助ける「トリプトファン」
先ほどもお伝えしましたが、PMSのイライラや落ち込みなどの感情の不安定さには脳内物質のセロトニンの不足が関係していると言われています。
セロトニンをつくるのに必要なのが、必須アミノ酸のひとつトリプトファン。これは体内ではつくれないため、食事から摂る必要があります。 そしてトリプトファンを効率的にセロトニンに合成するためには、ビタミンB6と鉄をセットで摂る必要があります。
<トリプトファンを多く含む食材>
肉類・魚類・乳製品・大豆製品
<ビタミンB6を多く含む食材>
魚類・鶏胸肉やささみなどの脂身の少ない肉類・卵・豆類・穀物など
*鉄を多く含む食材は、次の項目へ
失う分はしっかり補う!「鉄分」
毎月の生理の際に経血とともに鉄分を大量に排出するため、女性は貧血になりやすいといえます。
鉄分が不足すると疲れやすさやだるさにもつながってしまうので、失う分は食べ物で補ってあげることが大切です。
日本では、月経がある20〜30代の女性は、1日に10.5ミリグラムの鉄を摂ること(推奨)とされています(参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版))。
ただこれがけっこう大変!
たとえば、鶏のレバーで1日分を摂ろうとすると、120グラム。焼き鳥4本分くらい。牛ヒレ肉の場合は、390グラム。大ボリュームのステーキですね。
鉄は動物性の食品に多く含まれるヘム鉄、植物性の食品に多く含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄の吸収率は、20〜30%に対して、非ヘム鉄は5%ほどです。植物性食品(ほうれん草や小松菜)から鉄を摂取する場合は、ビタミンCをあわせて摂取するようにしましょう。
<鉄分を多く含む食材>
レバー・牛ヒレ・あさり、牡蠣などの貝類・カツオなど血合が多い魚類・小松菜・ほうれん草・ゴマ・あぶらあげ など
POINT
鉄の吸収率を上げるために、ビタミンCをセットで摂るのがおすすめ。
コンビニご飯で「鉄分」を手に入れる
おすすめのコンビニ商品
・ビーフジャーキー
・あさり缶などの貝類の缶詰
・豆腐
・納豆
・枝豆
・ほうれん草のあえもの
・冷凍ほうれん草、冷凍ブロッコリー
造血のビタミン「葉酸」も摂って
葉酸も20〜30代の女性が積極的に摂っておきたい栄養素です。
葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球の生産を助けるため「造血のビタミン」とも呼ばれています。また妊娠前からの十分な葉酸摂取が、胎児の先天性異常のリスクを減らせるということがわかっています。
妊娠が発覚してから摂れば良いというわけではないので、いつか妊娠をと考えているようなら、今から葉酸を摂取する習慣を持っておくと良いでしょう。 なお、妊娠に向けての栄養素としては、細胞の生産を助ける働きのある「亜鉛」も大切です。特に加工食品をよく食べる人は、亜鉛が不足している場合があります。
<葉酸を多く含む食材>
レバー・ブロッコリー・葉もの野菜・アスパラガスなど
<亜鉛を多く含む食材>
牡蠣・牛ヒレ肉など
毎食、肉類・魚類・大豆食品のいずれかを食べていれば十分摂れる
コンビニご飯で「葉酸」「亜鉛」を手に入れる
おすすめのコンビニ商品
・枝豆(葉酸)
・ほうれん草のあえもの(葉酸)
・レバニラ(亜鉛)
・牡蠣の缶詰(亜鉛)
・ビーフジャーキー(亜鉛)
今から貯金しておきたい「カルシウム」
女性の骨密度は20歳頃にピークを迎え、その後少しずつ下がり始めます。そして閉経後、急激に減少してしまいます。これは、年配の方が軽い転倒でも骨折してしまう要因のひとつ。
ですから若いうちからカルシウムを骨の中に溜めておくことが大切です。
また気分の抑うつがある人は、血中カルシウム値が低いという報告もあります。カルシウムを摂ることで、気持ちの安定にもつながる可能性もあります。
おすすめは、おやつや軽食に煮干しや、アーモンドフィッシュなどを摂り入れること。30グラム分の小魚を食べれば、1日の推奨摂取量(650ミリグラム)近くを摂ることができます。
<カルシウムが多い食材>
煮干し・乳製品・大豆製品など
コンビニご飯で「カルシウム」を手に入れる
おすすめのコンビニ商品
・アーモンドフィッシュ
・焼き豆腐や豆腐
・チーズ
コンビニご飯を自分で組み合わせて献立に
最近のコンビニはちょい足し系のミニサイズのものが増えています。それらを自分で組み合わせて、献立風にすればお料理する時間がなくてもバランスの良いご飯をとることができます。
バランス良くといっても、そんなに難しく考えなくて大丈夫です。
・ごはんなどの炭水化物
・肉か魚
・野菜
を1:1:1の割合で、選択するようにしましょう。ちなみに野菜は何を食べようかと迷ったら、色の濃いものを選ぶと、抗酸化ビタミンや葉酸が摂れるのでおすすめです。
忙しい人ほど朝ごはんを充実させよう
遅い時間の夕ご飯はゆとりもないし、カロリーも気になると思います。忙しい美容師さんには、前日に買って帰るなどして、朝ごはんで栄養素を確保するのをおすすめします。
朝ご飯は少なくとも、炭水化物とタンパク質を摂るように。 朝にしっかり食べると代謝が上がって、1日のエネルギー消費量も上がります。ダイエットにもつながるし、1日パワフルに働けると思います。
浅野さんから女性美容師のみなさんへ
PMSや生理痛など症状がある人も、ない人も、女性ホルモンの変動や月経というストレスがかかる期間を、毎月繰り返している自分の体をまずは褒めてあげてください。
もうそれだけで、女子はえらいんです!
だからこそ自分で自分をケアしてあげなきゃ。そんなふうに女性である自分を労わりながら、毎日のご飯にも意識を向けてみてくださいね。
- Profile
- 浅野まみこ/あさのまみこ
管理栄養士・フードプロデューサー
株式会社エビータ代表取締役。延べ1万8千人以上への栄養指導の経験を生かし、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ、講演、イベントなど多方面で活躍中。コンビニを活用した栄養アドバイスも行う。
https://e-vita.jp/profile/
- Instagram : @mamikoasano
- 執筆者
- mackey