“ムロ質感”が宿る、甘辛MIXのコントラスト〈ADITION〉室優菜

“ムロ質感”が宿る、甘辛MIXのコントラスト〈ADITION〉室優菜

211

2000年度生まれの美容師たちによるクリエイション「00line CREATORS」#3
photo_佐野一樹(chiyoda-studio)

いつの時代も、新しいムーブメントを生み出すのは“若い力”だ。いま、注目すべきは2000年度生まれの美容師たち。同世代で頭角を現す3人の美容師が、今の空気をヘアに落とし込む。3人目は〈ADITION〉の室優菜さん。学生時代からTikTokをはじめ、のちに開設したInstagramと合わせたフォロワー数はすでに30万人超え。SNSを通じて瞬く間に独自のスタイルを確立した彼女がつくる、ヘアデザインに迫る。

室優菜(むろ・ゆうな)/2001年生まれ、大阪府出身。関西美容専門学校を卒業後、関西のサロンに1年半勤務し。フリーランスを経験したのち、「ADITION(アディション)」に入社。2024年4月にデビューすると、同年「カミカリスマ2025」カラー部門で受賞を果たす。

鮮やかな赤とブロンドが織りなす、コントラストの妙。「Rouge(ルージュ)」は、力強さと繊細さを共存させた。モードやパンクのテイストを好む一方で、サロンワークではナチュラルな柔らかさも大切にしている。その二面性を、彩度と質感で表現した。

大胆なレイヤーに加え、顔周りには鮮烈なレッドを配置。毛先に向かってワインレッドへと溶け込むグラデーションが、奥行きのあるニュアンスを生む。

「テーマは“甘辛MIX”です。モデルさんの持つ可愛らしさを活かしながら、ヘアにはエッジを効かせたかった。ヘアの質感はあえて柔らかめに、でもカラーは攻める。赤のトーンをビビッドとワインレッドで分けて、絶妙なバランスを狙いました」(室)

🅀 今回のデザインのこだわりを教えてください

「コントラスト」を意識しました。ファッションやパンクの要素が好きだけど、サロンワークでは柔らかく落とし込んだスタイルも提案する。その自分の中にある振れ幅をデザインに落とし込みたかったんです。顔周りのビビッドな赤をシームレスに毛先へつなげ、強さだけじゃない、どこかしなやかさも感じる色使いに仕上げています。

🅀 サロンワークではどういったデザインが人気ですか?

9割以上がデザインカラーで、お任せが多いですね。特に人気なのは黒のローライト。私自身が入れてるっていうのもあるんですけど、「同じ感じにしたい!」ってオーダーされることが多いです。でも普通の黒じゃなくて、色落ちしたときに濁らないブラウンベースの黒を使うのがポイント。しっかりコントラストをつけつつ、次のカラーの邪魔をしないデザインがウケてるのかもしれません。

インスタグラムの投稿

🅀 室さんの強みを教えてください

「ムロ質感」だと思います。デザインを見たときに、「これはムロがやったやつだ」って分かる質感を意識しています。ただトレンドを追うんじゃなくて、その質感やバランスまで含めて自分のスタイルとして確立させることが大切。

それがSNSでも伝わって、「ムロのセンスが好き」と言ってくれるフォロワーが多いのかなと思います。私自身、他の美容師さんのスタイルはあまり見ないし、自分の好きなものだけを吸収して、それをヘアに落とし込んでいる。だからこそブレずに、「お任せで!」と来てくれるお客さんも多いし、自然と波長の合う人が集まっている気がします。

多くの顧客から支持を集め、カミカリスマ2025では、最年少でカラー部門の一つ色を受賞

🅀 最後に、今の目標を教えてください。

今は海外の美容シーンに興味があります。今、英語を独学で勉強していて、まずはロンドンに行って現地の美容シーンを見てこようと思っています。日本と海外を行き来しながら、いろんな文化に触れてインスピレーションを得たいですね。

取材後、実際にロンドンへ。

あとは、クリエイティブな撮影にももっと挑戦したい。今まではサロンワーク中心で、決められたテーマに沿って作品をつくるのが苦手だったんですけど、もっと引き出しを増やしてニューな自分を探したいと思っています。

木村 麗音
執筆者
木村 麗音

日本美容専門学校を卒業後、都内ヘアサロンを経てキャリア転換。少年ジャンプ編集部で3年編集アシスタントを務めた後、髪書房に入社。ウェブメディア「ボブログ」の編集を担当。

Prev

Next