待たせたな!〈CUT純〉待望の2号店が爆誕。あれから1年、何が変わった?

待たせたな!〈CUT純〉待望の2号店が爆誕。あれから1年、何が変わった?

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photo_近藤沙菜

有名ゲーム実況者、加藤純一さんがプロデュースしたヘアサロン〈CUT純〉。「格好悪いやつを、格好良く」を掲げ昨年の1月にオープンすると、ファンを中心に予約が殺到し続けた。あれから1年、ついに渋谷に2号店が誕生する。

オープン当時は、その突飛な背景から「本当にヘアサロンとしてやっていけるのか?」という声も少なくなかった。しかし、CUT純は着実にヘアサロンとしての存在感を確立し、異例の成長を遂げてきた。

なぜ2号店をオープンするのか?この1年でCUT純は何が変わったのか?
今回は、CUT純のオーナーであり、加藤純一さんの実姉である中村千絵さんと、2月にスタイリストデビューを果たした江口卓哉さんに話を聞いた。


“ヘアサロンらしくなった”
CUT純の1年

中村千絵(なかむら・ちえ)/ゲーム実況者、加藤純一の実姉。有馬記念で加藤純一が的中させた賞金を元手にヘアサロン〈CUT純〉を立ち上げ、2024年1月にオープン。オーナーとして、スタッフの働きやすい環境づくりやブランディングに力を注ぐ。

── オープンから1年。CUT純はどんな1年でしたか?

とにかくあっという間の1年でしたね。メンバーは純一のファンという共通点こそあれ、美容師としてのバックグラウンドもバラバラ。それぞれやり方や価値観の違いに戸惑いもありました。

でも時間が経つにつれて、ただの「純一のファンが働くサロン」ではなくなった。それぞれが、スキルをどう活かすか、サロンにどう貢献・連携するかを考え始めて一体感が生まれてきました。ヘアサロンらしさというものが、形になってきた1年だったと思います。

── ちえさん自身はどうでしたか?

裏方に徹するつもりだったのに、予想以上に前に出る場面が多かった1年でした(笑)。私自身は純一のサポート役で、裏方としてCUT純を支える立場だと思っていたんです。でも、実際にオープンしてみると、直接関わる機会が意外と多くて。

「CUT純に来てよかった」とか、「初めてヘアサロンに来たけど、勇気を出してよかった」といった声を直接いただくと、やっぱり嬉しいです。単に経営するだけじゃなく、CUT純を通じて誰かの“きっかけ”になれているんだなと実感する瞬間が増えました。

── CUT純のスタッフらしさみたいなものはありますか?

意外にみんな繊細なんですよ。「純一の視聴者って、めちゃくちゃ真面目なんだな」と、彼らを通して強く感じました。仕事に対してすごく真摯。やり方や考え方に疑問を持って、常に「これでいいのか?」と問いながら働いている。単にルール通りに動くのではなく、自分で考えて仕事をする姿勢が根付いているのは、このメンバーの強みだと思っています。

みんながCUT純を支え
CUT純がみんなを支えている

── 離職率が高い業界で、今日まで離職ゼロと伺いました。何か意識的に取り組んだことはありますか?

職場環境の整備や給与システムの改善、研修・教育の充実、半年に一度の個人面談や全体会議。こうした取り組みは続けてきました。これが直接の要因かはわかりませんが、お客様を第一にしつつ、スタッフが働きやすく、お互いを尊重できる環境をつくることは常に意識しています。

互いを尊重し、成長し合える場であること。その積み重ねが、今につながっているのかもしれません。でも、ずっと同じメンバーでいることが正解とも思っていません。それぞれが新しい目標を見つけた時、CUT純での経験が財産になるような場所であり続けたいですね。

── 「お互いを尊重できる環境」というと、先日投稿したこのツイートにはどんな背景があったのですか?

これはふと感じたつぶやきです(笑)。私が過去、「会社の材料になるな。宝の財になれ」と尊敬する上司に言われたことを思い出して。

CUT純は発言から人柄まで、技術だけじゃなくて“CUT純のスタイリスト”としての立ち振る舞い”を問われる機会が多い。これは加藤純一という看板を背負うCUT純の強みでもあり、同時に大きなプレッシャーでもあるんです。申し訳なさも感じているんですが、みんなそれを乗り越え、美容師としての価値を発揮しながらCUT純を支えている。その姿を見て、「みんなが会社の財産だなぁ」って、心から思ったんです。

2号店出店の理由と今後の展望

──  前回の取材で、すでに2店舗目は東京にというお話でしたよね。

そうですね、動き始めたのは青山店のオープンから半年後、夏頃です。お店が目標としていたフェーズに達したこと、そして何よりも、予約を断らざるを得ない状況が続いたことが大きかったです。

山手線沿いで探していて、実際に店舗を見て「ここだ」と感じたのが渋谷でした。フィーリングで決めた部分が大きいですね。

── 1号店との違いや、新たな試みは?

CUT純らしさはそのままに、美容師としての技術や表現をより打ち出したサロンを目指しています。1号店はセット面6席に対しシャンプー台2台でしたが、2号店は4席に2台にし、ヘッドスパや髪質改善に割ける時間を増やせるようにしました。

また、1号店のオープン当初は9割が男性のお客さまでしたが、女性のお客さまにも来店しやすい空気づくりを意識したことで、現在は少しずつ増えてきています。今回は個室も設けたことで、さらに幅広いお客さまに快適に過ごしていただける環境を整えました。

── 最後に、今後の展望を教えてください。

「加藤純一がやってるヘアサロン」という枠を超えて、サロンとしての実力やブランドを確立していきたいと考えています。そのためにも、この2号店は大きな意味を持つはず。最近はオリジナルのシャンプー・トリートメントに続き、ワックスの開発も進めています。ヘアデザインだけでなく、ライフスタイルの提案まで含めて、CUT純だからこそできる美容体験を、多くの人に届けていきたいですね。

(右から)昨年発売したシャンプー「泡純by cut jun」とトリートメント「艶純 by CUT JUN」/編集部撮影

CUT純で、人生を変える美容師に

江口卓哉(えぐち たくや)/1997年生まれ、神奈川県出身。2店舗を経て、CUT純のオープニングメンバーにアシスタントとして参加。今年2月にスタイリストデビューを果たし、CUT純の2号店・渋谷店に異動する。

── 江口さんは1年前、オープニングメンバーとしてアシスタントから参加されたそうですね。CUT純に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

ちょうどキャリアについて悩んでいた時期で、「そもそもなんで美容師になりたかったんだっけ?」と考えていたんです。そのとき、自分は「人の人生を変える美容師になりたい」と思っていたことを思い出して。

CUT純には、「かっこ悪いやつをかっこ良くする」という、自分が勝負できるコンセプトがある。しかも、影響力のある人のもとで、それを実現できるチャンスがある。加藤純一さんの視聴者というだけでなく、このサロンなら本当に誰かの人生を変えられるかもしれないと思ったんです。

CUT純での1年
アシスタントからスタイリストへ。

── CUT純に入る前は、どんなキャリアを?

ここに入る前も、すでにスタイリストとして働いていました。ただ、メンズカットの経験は少なかったので、アシスタントからスタートしたんです。責任を持って技術を提供するためには、きちんと学び直した方がいいなと。

── 2度目のデビューに向けた歩み、この1年はどうでしたか?

手探りで始まったサロンというのもあって、上の人たちをはじめ、土台作りは苦労していたと思います。でも教育部分は先輩が教えてくれるのにプラスして、外部アカデミーでも学べる環境が整っています。メンズカットを重点的に学ぶことができました。

サロンワークは想像と違うことの連続でした。お客さまは全員加藤さんの視聴者だし、前のサロンじゃそんなことあり得ませんでしたから(笑)。老若男女問わず共通の話題があって、話が盛り上がるというのは大きかったですね。

── CUT純でスタイリストになる魅力は?

加藤さんの、圧倒的な影響力ですね。普通、スタイリストになりたての頃はなかなかお客さまがつかない。でも、CUT純は“加藤純一“という存在があるので、自然とお客様が集まってくる。僕がXでデビュー報告をした時にも1000件以上のいいねをいただいて、こうした影響力は他にない魅力だと思います。

でも、一番大事なのはその環境に慢心しないことだと思っています。看板に頼ってばかりではなく、「あなたに切ってもらいたい」と思ってもらえる美容師にならなければいけない。

── CUT純のお客さまには、他のサロンとは違う特徴がありますか?

普通のヘアサロンなら、サロンに行き慣れた人がほとんどだと思うんです。でもCUT純は、行きつけがなかったり、そもそもヘアサロンに行ったことのない方が多いんです。

だからこそ、最初は「わからないのでお任せします」という方も多い。でも、どんな人でも心のどこかに、”かっこよくなりたい”、”かわいくなりたい”という気持ちはある。

それが最初は表に出ていなくても、施術を進めていくうちに少しずつ変化していくのが分かるんです。最後、仕上がりを見て嬉しそうな表情になる。その瞬間が、今の僕の生きがいです。

成長の先にある関係性

── これから、どんな美容師になっていきたいですか?

僕の理想は、CUT純に来る理由が「加藤純一のヘアサロンだから」以上に、「江口卓哉に切ってもらいたいから」になること。

例えば、最近は忙しくて、配信を見る時間が減ったけど、それでも僕のところには髪を切りに来てくれる。そんな関係性です。

加藤さんの影響力に頼るだけじゃなく、自分自身がきっかけでお客さまを増やし、新しい関わりを生み出せるようになりたい。そして、それが結果的にCUT純にも加藤さんにも良い影響を与えられる。

美容師として成長し、新しい視聴者を加藤さんの配信にもつなげる。それが、僕の目指す理想的な関係です。

木村 麗音
執筆者
木村 麗音

日本美容専門学校を卒業後、都内ヘアサロンを経てキャリア転換。少年ジャンプ編集部で3年編集アシスタントを務める。その後、髪書房に入社しウェブメディア「ボブログ」の編集を担当。

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