〈ヘアツール部門〉焦点は性能を超えた価値、プロが求めた新基準

〈ヘアツール部門〉焦点は性能を超えた価値、プロが求めた新基準

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編集部では都内90サロンを対象に「2024年に最も売れた店販商品」についてアンケート調査を実施した。カテゴリは「シャンプー・トリートメント」「レディーススタイリング剤」「メンズスタイリング剤」「ヘアツール」の4つ。その中で今回は「ヘアツール」部門の結果発表を行う。

写真:シミズエリオ

ベストプロダクトアワード2024
ヘアツール部門

ヘアツール部門では、ヘアアイロンやドライヤーなどの美容機器全般を調査。その結果、昨年に続きMTGの「リファストレートアイロン プロ」が1位に輝いた。2位はリュミエリーナの「レプロナイザー 7D Plus」、3位はキヌージョの「キヌージョ ストレートアイロン」がランクインし、高価格帯のヘアアイロンとドライヤーが上位を占めた。

Contents

ブランディング戦略と美容師の信頼が鍵

ヘアツール部門では、性能やデザイン性の向上が当然視される中、ブランド構築や提案力が競争の焦点となっている。ブランド側には美容師からの信頼と顧客への的確な訴求という二軸が、成功の新たな基準として求められた。そしてリファはその象徴ともいえる存在だ。確立されたブランドイメージを軸に高い性能とデザイン性を両立し、美容師監修による製品アップデートで信頼を築いた。

また、ヘアツールの購買行動が家電量販店からサロンへとシフトする動きもある。髪に詳しい美容師の説明と、実際にサロンで試せる点が購入の決め手となっているようだ。一方で、量販店も「ヨドブルーム」のように美容師との連携し利便性と信頼性を融合した購買体験を試みている。こうした形態は、価格競争を超えた付加価値を提供し、サロンと量販店が相互補完的に業界全体を革新する可能性を秘めている。

以下に人気の理由やサロンの取り組み、編集部が注目するピックアップ製品を紹介する。

1位「リファ(ReFa)」

リファストレートアイロン プロ

リファストレートアイロン プロ(23000円)

独自の技術「カーボンレイヤープレート」を採用したストレートアイロン。熱の伝わり方をマイルドにし、髪に残った水分による水蒸気爆発を防ぐことで髪を傷つけにくい。アンケートでは「カラーが落ちずにうねりを伸ばしてくれる」、「デザイン性と機能性の高さに加え、値段も2万円台と高すぎず提案しやすい」といった声があった。

サロンの取り組みとしては季節やライフイベントに合わせたキャンペーンなど、消費者のライフスタイルに寄り添った提案もポイント。新生活シーズンである3~4月のプロモーションが、若い層を中心に好評を得た。

2位「レプロナイザー(REPRONIZER)」

7D Plus

レプロナイザー 7D Plus(79200円)

独自の「バイオプログラミング技術」を採用した「レプロナイザー 7D Plus」は、乾かすだけで髪に潤いとツヤを与え、熱ダメージを抑える高性能ドライヤー。アンケートでは「顧客に実際に試してもらうことで店販がスムーズになった」「使うたびに髪のうるおいが増していくのを感じる」など、高価格帯ながらその確かな効果実感が支持を集めた。

一方で、サロン側の販売促進は限定的で、SNSでの話題性が売上をけん引したケースが多い。「販売自体は好調だが、市場に浸透しきっている印象」との声もあった。

3位「キヌージョ(KINUJO)」

キヌージョ ストレートアイロン

キヌージョ ストレートアイロン(24200円)

独自の「シルクプレート」が特徴の「キヌージョ ストレートアイロン」。摩擦係数の低い特殊加工プレートが髪へのダメージを抑え、水分を逃さず滑らかな仕上がりを実現する。アンケートでは「プレートの滑りが良く、コスパが高い」「クセがしっかり伸び、ダメージの心配が少ない」といった声が寄せられた。

サロンでは施術中に実際の商品を使用し、顧客に仕上がりを体感させる提案が鉄板だ。さらに、サイネージ広告や動画を組み合わせることで、自然に特長や使用方法を伝える仕掛けも販売促進につながっているようだ。

ピックアップ

マグネットヘアプロ ドライヤーゼロ
ホリスティックキュアーズ

マグネットヘアプロ ドライヤーゼロ ブラックプラス(32450円)

ピックアップは、「マグネットヘアプロ ドライヤーゼロ」。軽量設計と細かな設定機能を兼ね備えたドライヤーで、惜しくも表彰台には届かなかったが4位にランクインした。5段階の温度設定と3段階の風量調整ができ、大風量ながら350gという軽さが特徴だ。取り回しがよく、サロンワークでの扱いやすさも高く評価された。

アンケートでは「軽い、風量が強い、髪が潤う」「温度や風量の調整が細かくでき、仕上がりが安定する」といった声が寄せられ、扱いやすさに加え「髪のうるおい」が魅力として多く挙げられた。機能性と利便性を兼ね備え、プロの現場でも家庭用としても注目される一台だ。


木村 麗音
執筆者
木村 麗音

日本美容専門学校を卒業後、都内ヘアサロンでの勤務を経てキャリアを転換。少年ジャンプ編集部で3年間編集アシスタントを務める。その後、髪書房に入社しウェブメディア「ボブログ」の編集およびメディアマーケティングを担当。

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