100均のエリーちゃんを、本気でかわいくしてもらえませんか?【連載⑥】いけのの晃正/Pluss teru biyousitsu(福岡県福岡市)
リカちゃん、ジェニーちゃん、バービー人形……
女性なら誰もが幼きころ、お世話になったであろうお人形遊びですが、最近台頭してきている「エリーちゃん」をご存じですか?
なんと100円!!の着せ替え人形。ダイソーで販売されています。
着せ替え遊びの用は足りますが、やはりそこは100円クオリティ……ていねいにつくられたおもちゃメーカーの人形とは違い、雑に植えられた髪の毛によって強烈な生えグセが。梱包によるクセもついて髪の毛はボサボサです。
構造上の問題もあり、前髪には桁違いの分け目グセ。 髪がすべて浮いているのでハゲかかって見えますし、毛穴がまばらなせいで頭皮が見えていることも!
……もしエリーちゃんが新規客として来店したら、激ヤバじゃないですか!?!?
でもコンプレックス対応は高単価顧客化のチャンスなのも確か。
この髪、もうどうしていいかわからないの。何とかしてください……
果たして、エリーちゃんの難しすぎる髪に対応できる美容師さんって存在するんでしょうか!?それを検証するため、我々ボブログ編集部は福岡へ飛んだ(飛んでないです)。
これまでにチャレンジしてくれた美容師さんたちの作品はこちらでチェック!
今回チャレンジしてくれたのはJHA常連いけののさん!
- Profile
- いけのの晃正/いけののてるまさ
Pluss teru biyousitsu(プラステル美容室)/福岡県福岡市
1978年12月29日生まれ。鹿児島県出身。福岡美容専門学校卒業後、福岡市内2店舗を経て2002年に「Pluss」入社。現在、2店舗のディレクターを務める。2018年JHA九州・沖縄エリア賞はじめ、多数の賞歴を持つ。
美容業界の芥川賞と言われるJHA。いけののさんは九州・沖縄エリア賞において、2019年ノミネート、2018年エリア賞受賞、2017年エリア賞受賞、2016年ノミネート、と連続して入賞しています。
いけののさんの作品は、いつもハイデザインでありながら自然体かつ新鮮で、サロンワークではお客さまの生活をしっかり可愛くしてるんだろうなあ!と思います。
そんないけののさんのエリーちゃんをどうぞ!
いけののさんの手で、ニューロマンティックなアイドルグループ「パチクリ」結成!?
〜〜♩♫♩
身の回りのものでアイドルになる。子供時代の憧憬をスタイルに
人形といえば、お姫様みたいな大人になりたいという憧れの象徴。そこでアイドルユニットをつくることにしたといういけののさん。
やっぱウチが一番イケてるっしょ!
いまは目立たないけど、私はいずれAbemaで帯番組を担当するわ。
自分だけ目立てばいい!というタイプのアマゾネススタイルの茶髪エリーちゃん、「ゾネス」ちゃんと、半歩下がって目立たないけど毒舌で刺すリリカルなエリーちゃん、「シチリアーノ」様が出来上がりました。
おれたちのアイドルといえば、やっぱりWink!全体的に80年代の雰囲気で、シンディーローパーやカルチャー・クラブもイメージソースです。あの頃って、とにかく頭を大きくして目立とうとしてた。
っていう髪の量感ですよね。昆虫とか鳥の派手さみたいで、動物的な強さがあった。そんな爆発なテンションを込めました!
特に今回は、ヘアアクセサリが野菜の型抜きに使う花型だったり、持っているステッキがお弁当に入れるおかず串だったり、照明の補助に投入されたおたまなど、身の回りのものが活用されているのも「お人形遊びでつくられるアイドル」としてのストーリーを盛り上げています。
照明に使ったホログラムのクリアバッグは家族のもの。リビングで輝いていたので取り入れました!こういう、家にあるものが小道具に見えてくる瞬間って盛り上がりますよね。
メッシーで乱雑なスタイルこそ、テクとバランス感覚の集大成!
漫画のキャラクターみたいな、デカくてあり得ない、でもかわいい!というヘアを目指しました!
まずはエリーちゃんのヘアの特徴をおさらい
こちらは編集部にあったエリーちゃん。毛穴の配置にはかなり個体差があります。
前髪の分け目は額に張り出して毛穴が配置され、そこからモヒカンラインみたいな感じで分け目の表面はしっかり髪の毛が植えられています。
それ以降は結構まばらにざっくりと、輪を描いて植毛。こめかみくらいまでしか毛穴がないので顔の両サイドが浮いて見えるんですね(浮いて見えるというか……??)
うーん、コスト削減と人形らしい見た目の保持の、絶妙な均衡を保ったプロダクトデザインって気がします。
いけののさんのパチクリたちは、実はこの困難な生え方をしっかり理解したパフォーマンスのいい施術でヘアデザインされています!
アマゾネスエリーはセルフっぽいけど凝ってるアンバランスボブ
右サイドはセルフカットをイメージして、ざくざく切ったワンレンボブ。
左サイドは2セクションに分け、アンダーセクションは右サイドと同様のボブに。オーバーセクションはアウトラインを極端な前下がりにしてかぶせています。
もともと毛穴の配置がまばらなために畝のように毛量の波があるのですが、オーバーセクションはそれを強調するスライドカットを入れて束感を増し、大胆に動く仕上がりになりました。バックは長さを残しています。
フロントの分け目はもともとの生え方を行かしつつ、型抜きの帽子で浮きを少々押さえました。
ちなみに衣装は雑誌の付録のポーチから制作。ブラトップのように縫い目が来ているのは持ち手を生かしたそう!
リリカルエリーは大胆シンプル!分け目のなじませにワザあり
エリーちゃんの強烈な分け目がめちゃくちゃ自然に馴染んでます。
分け目の毛穴が額に張り出しているのですが、その後ろの生え際の、二線めを動かします。
分け目の横を髪7〜8本くらいのイメージで三角に取り、根元を指でこすりながらヘビーパートへ持っていきます。そのままヘビーパート全体とあわせてまとめ、二つ折りにしてピンクの型抜きに押し込んで留めてしまうことで分け目が元に戻らずボカせるというわけです。
そして仕上げに型抜きから出ている髪をバツっと切っただけ。こういうあり得ない切り口のサイドテールのキャラ、いますよね!
お人形サイズの照明とポージングは難しい……
同じ姿勢で撮り続けていたために体がバキバキに……手にしっぷまで貼ってパチクリの2人をアイドルに仕立て上げたいけののさんに、撮影のこだわりも聞きました。
ポートレートだと思って、85mmのレンズしか持ってこなかったのが失敗でした(汗)よく考えたらミニチュアですもんね。。
背景は保冷バッグ、ステージはお弁当に使うアルミカップでキラキラに。ご家族の私物のクリアバッグで色味をプラスしました。カメラバッグに乗っているおたまも照明の補助。
アイドルらしく、かわいく決まるライティングを人形サイズで探るのは結構むずかしい!「女の子に光を下から当てるもんじゃないよ」と一人で自分にツッコんだりしつつ撮りました(笑)
そんないけののさん一押しのオフショットはこちら。なんか王蟲を連れて去っていくナウシカみたいな感じですよね。。。。?(そんなシーンありましたっけ。。)
大胆なヘアの中に、素材を見極める目と抜群のバランス感覚が光ったいけののさんのエリーちゃん、パチクリの2人。
王蟲的なものを引き連れ、次のコンサートへ向かうようです。
実はこういう↑オタたちとペンライトを手前ぼかしで入れたかったんですけど、体力が続きませんでした…!!
次回のエリーちゃんも企画中!ぜひお楽しみに〜!
- TOP
- エリーちゃんを本気でかわいくしてもらえませんか?
- 楽しむ
- 100均のエリーちゃんを、本気でかわいくしてもらえませんか?【連載⑥】いけのの晃正/Pluss teru biyousitsu(福岡県福岡市)
- TOP
- エリーちゃんを本気でかわいくしてもらえませんか?
- 楽しむ
- 100均のエリーちゃんを、本気でかわいくしてもらえませんか?【連載⑥】いけのの晃正/Pluss teru biyousitsu(福岡県福岡市)