偶然と必然に導かれて。代表・木下公貴に訊く「キャリアリングサロン」誕生秘話

偶然と必然に導かれて。代表・木下公貴に訊く「キャリアリングサロン」誕生秘話

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photo:近藤沙菜
text:那須凪瑳

美容業界に新たな風を吹かせるヘアサロンが、2024年の最強開運日といわれる7月29日(「天赦日」「一粒万倍日」「母倉日」「大安」が重なる)に東京・表参道にオープンした。その名も〈CAREERING SALON by KATETAYLOR〉(キャリアリング サロン バイ ケイトテイラー)。

名前を聞いて気づいた方も多いかもしれない。本サロンは松⽥翔太がプロデュースするピアスブランド「キャリアリング(CAREERING)」と、表参道と熊本に合計4店舗を構えるヘアサロン「ケイトテイラー(KATETAYLOR)」がタッグを組んで生まれたヘアサロンだ。アドバイザーに藤原ヒロシと荒⽊信雄を迎えた本サロン誕生の裏側を、「ケイトテイラー」代表の木下公貴に訊いた。

“偶然のような必然”の連続で誕生したキャリアリングサロン

──「CAREERING SALON by KATETAYLOR」は、いわゆる「アパレルショップ併設型ヘアサロン」とも違う、「キャリアリング」と一緒にプロデュースしたヘアサロンですが、コラボレーションに至った経緯はどうのようなものだったのでしょうか。

翔太くんは20代前半の頃からカットを任せてもらっている長い付き合いで。そんななかで、「『キャリアリング』でヘアサロンをやったら面白そうだよね!」という話の流れから、「もし実現するならぜひ一緒にやりたい!」と思ったのが始まりです。

──初めてその話をしたとき、木下さんはどんなお気持ちでしたか?

サロンワークをしていると、ロングヘアだったお客さまがショートヘアにしたときなどに「ピアスをしたらバランスが良いかもね!」というような提案をすることが多いので、コラボレーションには、すんなりイメージが持てましたね。

──確かに、髪型とピアスは親和性が高いですよね。すぐ具体的に話が進んだのでしょうか。

実はその頃、「ケイトテイラー」の店舗拡張のために内見を進めている時期でした。この話をいただいた1週間後内見に行った物件がとても良かったので、移転はそこに決定して、当時使っていた店舗が空き物件になることが決まって。そのタイミングで、「この店舗でサロンをやるのどうかな?」と、翔太くんに伝えさせてもらって、本格的に話が前に進み始めました。

きのした・きみたか/「熊本ベルェベル美容専門学校」卒業後、都内の大手サロンに入社。15年間勤めた後、独立し1号店を南青山にオープン。現在は東京都と熊本県に合わせて4店舗を構える。「ケイトテイラー」「CAREERING SALON by KATETAYLOR」代表。

──すごいタイミングだったんですね。

そうですね。オープンするまで、“偶然のような必然”の連続だった気がします。実はアドバイザーの荒木さんとも、2ヶ月前に別の機会にたまたまお会いしたんです。

──別の機会というと?

実はその頃、ちょうど熊本県の店舗「ケイトリバー(KATERIVER)」を拡張移転して、記念のオープニングパーティーを熊本で開催したんですね。たまたまそのときに荒木さんが熊本にいらっしゃって、パーティーに参加してくださったんです。建築家として大好きな方なので、純粋な気持ちで「僕もいつか荒木さんとお仕事できるくらいの美容師になるので、そのときはぜひお願いします」と伝えさせていただきました。2ヶ月後に「CAREERING SALON by KATETAYLOR」のアドバイザーとして荒木さんにお会いできたときは、本当にうれしかったですね。

他業界のプロフェッショナルたちとの刺激的な数ヶ月

──「CAREERING SALON by KATETAYLOR」の内装は、一面のコンクリートやたくさんの鏡などが印象的な、洗練された空間です。大きな冷蔵庫も目を引きますが、美容室に大きな冷蔵庫を置くというのを聞いたとき、どう思われましたか?

純粋に面白いなと思いました。冷たいものに清潔感を感じるので、大きな冷蔵庫を店舗に配置するのは相性が良いなと思いました。僕が普通に美容師をやっていたら、こんな内装にはなっていなかったと思うので、新たな挑戦ができて良かったです。

店内にはキャリアリングの商品も展示されている

──木下さんはこれまでもサロンの開業に携わられてきたと思いますが、他にいつもとの違いを感じる点はありましたか?

「ケイトテイラー」を始め、これまでサロンを開業するときは、図面やイラストに起こしたもので想像しながら配置などを決めていたので、「CAREERING SALON by KATETAYLOR」ができる過程で内装の模型を見せてもらったときは、感動しましたね。「これが出来るんだ」というイメージが明確に湧いたので、そういう意味では完成した内装へのギャップは全くありませんでした。

また、みなさん各業界のプロフェッショナルなので、とにかく仕事の進め方が早くて。例えば冷蔵庫の配置を決めるときも、荒木さんが4パターンくらいの図面を片手に、模型の冷蔵庫を動かしてくださって、結局15分くらいで冷蔵庫の配置が決まったのを覚えています。ヒロシさんも翔太くんも余計な話はせずに、その場でバンバン決めていきますし。毎日が刺激的でしたね。

──実際に今「CAREERING SALON by KATETAYLOR」で働かれていますが、どんなお気持ちですか?

キャリアリングというブランドと、錚々たるメンバーのアイデアが詰まった空間で働けているというのは、毎日背筋が伸びる思いで自分自身がピリッとする感覚になりますね。長年美容師という職業をしていると新しい発見や体験というのはなかなか見つけにくいので、コラボレーションが実現できてたくさん刺激もいただいています。今はこの空間に見合った自分にレベルアップしないとまずいな、と考えています。

目指すのは「プラシーボ効果」
洗練×抜け感のヒミツ。

店内の大きな冷蔵庫の左側には、オリジナルウォーターが

──店内にはキャリアリングの商品が展示されていたり、冷蔵庫の中にはたくさんのドリンクが入っていたりと、一般的な美容室ではなかなか見ない風景に出合えます。顧客体験としても新たな価値を生んでいると感じますが、今後の展望などはありますか?

はい。ドリンクの他にも、今後はオリジナルプロダクトを展示していく予定です。まだ詳細は言えないですが、ヘアにまつわるプロダクトから始まり、キャリアリングとケイトテイラーがコラボしているからこそ作れるプロダクトの展開も予定しています。

また、キャリアリングが最初に作ったフープピアスの名前は「PLACEBO(プラシーボ)」といって、「偽薬。気休め薬として高揚感を得るおまじないのようなもの」を指すのですが、「CAREERING SALON by KATETAYLOR」での顧客体験が「プラシーボ効果」のようなものを生めたらいいなとも考えています。「あそこで髪の毛を切ってもらうと気持ち良くなる」とか「サロンを出る頃には胸を張って出られる」というような気持ちにお客さまがなってくれたらうれしいです。

──いいですね。店内にいるLOVOT「ケイト」も、プラシーボ効果を生んでくれそうです。

ケイトは1週間前くらいに来てくれたばかりで、徐々に色々覚えてくれている最中で、今は何もしていないです(笑)。でも、いるといないとではだいぶ違って、癒しを運んでくれるんですよね。

店内にいる看板ロボットのケイト

──洗練された空間にケイトがいるというような“遊び心”が垣間見えると、よりくつろげる方も多そうです。

洗練された清潔感のある空間を目指してはいますが、 “抜け感”も大切にしています。オリジナルプロダクト、ドリンク、ショーケース、LOVOT(ケイト)など、お客さまには施術はもちろん、それ以外の部分もぜひ楽しみにしてもらえたらうれしいです!

──来店するたびに、新たな発見がありそうですね。

今後仕上がっていく部分もありますし、「キャリアリング」とコラボレーションした意味も、どんどんブラッシュアップしていきたいと思っているので、お客さまにはいつご来店いただいても新鮮な気持ちになっていただけるのではないかと思います。

──では最後に、木下さんご自身の今後のビジョンをお聞かせいただけますか?

「CAREERING SALON by KATETAYLOR」がオープンしてから、実は10年ぶりに新規のお客さまを担当し始めたんです。プレーヤーとして久しぶりに新たな挑戦をしている最中で、今はそれが楽しくて。「初めまして」のお客さまって緊張もするんですが……。

僕にとって、「CAREERING SALON by KATETAYLOR」のオープンは、とても刺激的なものになったので、今後この経験から受けた刺激をサロンワークを通してお客さまに還元していきたいです。

CAREERING SALON by KATETAYLOR
Salon Information
CAREERING SALON by KATETAYLOR

キャリアリング サロン バイ ケイトテイラー

住所 東京都渋⾕区神宮前5-2-7 2F
MAP Google map
那須 凪瑳
執筆者
那須 凪瑳

フリーランスライター、編集者。日本美容専門学校夜間部卒業。美容師免許保有。

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