1年目から基本給31万円!〈ヒロ銀座〉の業界最高水準の給与形態に迫る
理容業界大手のヒロ銀座グループ。新卒採用ページをのぞいてみると、業界最高水準の給与形態を高らかに謳っています。
しかも月最大9.5日も休めて、入社1年目から基本給31万円て、いったいどうなってるの?
理美容師でなくても気になるその実態について聞いてきました!
まずはヒロ銀座の基本情報から
ヒロ銀座は都内中心に、北は仙台、西は名古屋、大阪、そして海外まで展開している大手理容室グループ!
基本情報
・会社名 株式会社HIRO GINZA
・代表者名 渡部博
・創業 2005年
・店舗数 海外含め37店舗 国内35店舗
・スタッフ数 373人(※2024年1月現在)
展開するブランドは4つ。
- 高級個室理容室の
「HIRO GINZA HAIR SALON」
- ワンランク上のサービスを提供する、女性スタッフのための「PREMIUM BARBER」
- 流行りのバーバースタイルに特化した
「HIRO GINZA ~BARBER SHOP~」
- ヒロ銀座の海外ブランド
「HIRO GINZA PREMIUM BARBER」
新卒採用ページをのぞいてみると…
入社年数と給与についてばばーんと掲載。
「◯万以上」など、うやむやにせず、ハッキリと書いていてむしろ気持ちいいです。
ヒロ銀座HPより抜粋
理美容師の平均年収319万円を入社1〜2年めで超えています!
もちろん福利厚生もばっちりです(雇用形態は正社員のみ)。
・役職手当
・店販手当
・目標達成手当
・店舗歩合
・実績歩合手当
・社会保険完備
・通勤手当
(上限月16,000円)
・夏季休暇7日間
・冬季休暇7日間
・産休・育児休暇
・慶弔関連休暇
・出産祝い金
・引っ越し代サポート
・技術成長サポート
・シフト制
(月9.5日休み)
銀座本店の店長
山口さんに聞きました
大手だから給料が高いのか?
気になりすぎるので、店長の山口さんにぜーーーんぶ聞きました!
- Profile
- 山口 剛
銀座本店 店長
やまぐち・つよし/1997年4月12日生まれ。千葉県出身。窪田理美容専門学校卒業。都内1店舗を経て、ヒロ銀座入社。現在、銀座本店の店長を務める。
――まずは基本的な質問から……。ヒロ銀座の売りやコンセプトは何ですか?
早くて上手い、ですね。
カット+シェービング+マッサージ+ブローをすべて施術しても40〜45分の早さで終わります。カット+パーマでも1時間15分以内です。
仕事をしていて忙しい男性客がメインですから、早さはとても重要です。
また、個室っぽいつくりになっているのも、短時間の滞在でもお客さまが落ち着けますし、コロナ禍のころは安心感につながったと思います。
――スピーディでありながら満足度の高い仕上がりは理容室ならではのウリですね。サロンの立地や客層について教えて下さい。
どの店舗も必ず駅近です。
早いところで駅から徒歩1分。平均5〜6分の店舗が多いです。いちばん遠くても10分以内ですね。
25歳以上、30〜40代くらいがメインの年齢層です。働く男性のお客さまが中心なので、普段から電車によく乗る人が通いやすい場所にしています。
わー、銀座本店は銀座駅の地下通路のB2出口から徒歩1分という近さです。
これなら男性が外仕事の合間でも、天気が悪い日でも、行きやすいですね。
――平均客単価はどのくらいですか?
ヒロ銀座は平均7,500円くらいですね。
カット料金(カット+シャンプー+シェービング+マッサージ+スタイリング込み)が5,500円なので、プラスして、ボディマッサージ(1,100円〜)、ヘッドスパ(3,300円〜)、フェイシャルマッサージ(3,300円〜)、ネイルケア(2,200円)などをされる方が多いです。
高級ラインもある!
――ヒロ銀座さんには高級ラインのプレミアムバーバーがありますが、そちらはどんなお店ですか?
プレミアムバーバーはワンランク上のサービスを提供しているサロンです。
ヒロ銀座との大きな違いは営業時間が12時半〜20時で、ヒロ銀座と比べて短いです。
なので、短い時間の中でもしっかり売上げが立つように価格設定を上げています。技術者も歴4〜5年以上の中堅スタイリストでないと勤務できません。
また、女性スタイリスト中心にし、産育休後でも働きやすくするなど、女性のライフスタイルに寄り添った働き方ができるようにしています。
――そもそも働き方自体が違うんですね! こちらは客単価はどのくらいですか?
プレミアムバーバーは平均11,000円くらいですね。
カット料金(シャンプー・ミストシェービング<眉カット込み>・顔の角質取り・肩マッサージ・ドリンクサービス・ブロー込み)が8,250円ですので、プラスメニューをされている方がほとんどです。
プラスメニューで人気なのは、ヘッドスパ、フェイシャルマッサージです。ネイルケアをされる方も多いですね。
《業界最高水準》
初任給が高い理由とは?
数字で見るヒロ銀座
ヒロ銀座HPより抜粋
――では……そろそろ本題について伺いたいのですが! なぜそんなに初任給が高いのですか?
そもそも社長の渡部 博の「若いときからしっかり稼いでほしい」という強い思いがあります。
社長が若い頃、貧乏を味わい、これでは嫌だと死ぬ気で頑張って、みんなで稼げるサロンのヒロ銀座をつくりました。
そういった社長の思いがスタッフに浸透しています。
――社長の渡部さんの思いはどうやって伝えているのですか?
社長は銀座本店でカットしているので、一緒に働いている人もいますが、定期的に社長の話を聞く会があります。
週ごとに1年生の会、2年生の会と社歴で分け営業前に2時間くらい集まります。社長が読んだ本をサロンに当てはめて話したり、お客さまが幸せに感じるにはどうしたらいいか、などの内容が中心です。
――社長の思いがサロンの風土としてしっかり根付いているんですね!
では、具体的にどうやって「みんなで稼げる」サロンにしているのでしょうか?
個人で売り上げた額の何%を還元するかというシステムがしっかりしているのがヒロ銀座です。
・単価をしっかりいただく
・きちんと集客する
・シャンプーやワックスなど自社商品をつくる
というのを徹底しています。
物価が上昇している中で、5,500円という料金設定ですが、プラスメニューや、フェードカット、パーマなどの組み合わせで、高単価をいただいています。
特にスピーディであることに加えて、たくさんのお客さまに来ていただくことを重視しています。
――たくさんのお客さまというと、どのくらいですか?
銀座本店の月平均の入客数は約2,200名です。昨年12月は約2,400名でした。
売上げの計算方法は、1台あたりのセット面に対して計算していて、1台200万円の売上げ、4台で1,000万円の売上げが上限です。
この中でスタッフの生産性を算出し、シフトをつくるときの人数配置が決まります。無駄な人数を置かないようにし、多すぎたら他店にまわして、多くなりすぎれば新しい店舗を出す、という流れです。
――ヒロ銀座は毎月しっかり休みもとれる、とも謳っています。
そうです、月最大9.5日休めます。
休みを減らすと、休日手当が出るのですが、個人で売り上げた額をきちんと還元するシステムなので、多くお客さまを担当するほど給料も増えます。
なので2年目以降のスタッフは休みを減らして働く人も多いですね。
――とはいえ、技術的にすぐお客さまに入ることはできるんですか?
実力をつけないといけないけど、わりとすぐ入れます!
技術を磨かないといけない環境なので、自覚を持ってお客さまと接し、喜んでいただくという成功体験を積んでもらいます。
――スタッフの平均年齢はどのくらいですか?
平均26歳です。
上は30代後半ですが、独立した人も多いです。
そのくらいの世代は「自分はいずれ独立する」と考えている世代ですが、20代は独立願望のない人も多く、長く働ける環境づくりにこれからシフトしていきそうです。
もっと詳しく知りたい!
給与制度について
――もっと具体的に教えて下さい! 独自の給与制度とはどういったものですか?
基本給は31万円(※2024年以降)です。
ここから1カ月の売上げ基準額を超えると、基本給から変動給システムに変わります。
【変動給システムの1カ月の売上げ基準額】
女性スタッフ 30万円
男性スタッフ 65万円
※2回目以降のお客さまが売上げに反映。
※役職のあるスタッフは別。
カット以外にも、シャンプーやシェービングなどすべての工程に、例えば1,000円、2,500円など金額(ポイント)が決まっていて、ポイント制のように、基本給31万円に加算されていきます。
固定客のついていない入社1年目でも、売上げ実績が50万円を超えると、給与に上乗せされるため、やればやるほど稼げるシステムになっています。
2年生の後半くらいから、徐々に固定客(2回目以降)がつき始めるので、それに加えてシャンプー、シェービングなどにも入って稼ぐ人が多いです。
――女性スタッフのほうが基準額の設定が低いのはなぜですか?
女性は結婚や妊娠など、一時的に仕事ができなくなってしまう期間があります。
その前にたくさん稼いで、豊かでいてほしいという社長の思いから、女性スタッフのほうが早めに稼ぎやすい金額になっています。
――まさに誰から見ても明朗会計!!!!
都度、自分でポイントをシステムに入力していくというのも、やった感につながるし、モチベーションも上がりますね。
変動給に変わった後も、自分の固定客が多いのも大切ですが、ほかのスタイリストのヘルプに入ってもポイントが貯まります。
1つ1つがお金になっているのを実感しますし、責任感とやりがいになっていると思います。
スタイリストデビューはいつ?
カットデビューまで
ヒロ銀座HPより抜粋
――美容室だとスタイリストデビューまで3年から、長くて6年など幅広く、デビュー後の売上げは80万円、100万円達成など目標金額がありますが、ヒロ銀座はどうですか?
実はデビューのための明確な項目がありません。
技術的にOKかどうかは店長判断なんです。
だいたい早くて入社半年〜1年くらいでデビューします。
――え! でも練習会などはしていますよね?
そうですね。1年目でもモデルをよんでカット練習OKにしていて、だいたい入社2〜3週間くらいでモデルを呼んで練習しています。もちろん最後に店長がカットのチェックをしています。
多い人で、1カ月で80人モデルを呼んだアシスタントもいますよ。
また月1回、技術力を高める社内大会も開催しています。
――店長判断はどんなところをチェックしますか?
技術レベルはモデルのカットのチェック時に判断します。あとはカウンセリングができているか、カット中の会話の様子など、人間性も含めて総合的に見ていますね。
ただ、スタイリストデビューしてもしっかり固定客がつく2年目後半くらいまでは、アシスタント業務も続き、いろんな店舗をまわるので、先は長いです。
どうしてそんなに集客できるの?
――技術を磨くのはまさに実地訓練さながらですが、客数の多さがあればこそです。
そうです、お客さまが多いからこそできることです。
お客さまが少なかったら、任せようと思いません。
――どのように集客をしていますか?
全部、自分たちでやっていて、今やってるのは……
・自社ホームページ
・ホットペッパービューティー
・楽天ビューティ
・Instagram、YouTube
など媒体はさまざまです。
それぞれチームを組んで、リーダーを決めて動かしています。
ヘアカタは自分たちで撮影し、モデルもスタッフにするなど、コストはほぼかけません。ホットペッパービューティーは基本的にいちばん安いプランです。
――スタッフ総勢373人(※2024年1月現在)のマンパワー!
外部コストを極力かけないのも、給与還元のポイントです。
サロン業務以外に少しでもできることはやってもらっています。
この集客がサロン全体のブランディングになっていて、誰か1人突出するというよりも、会社全体を伸ばしている段階です。
もちろん個人で伸びる人がいるなら、そのほうがいいですが、今はまず会社全体のブランディングを意識しています。
――自社商品をつくって、それを使っているのもコスト削減が主な目的ですか?
そうですね。香りやデザインなどすべて自分たちで決めて、普段の業務で使っていますし、店販もしています。
店舗以外でも自社ホームページ、Amazon、ドン・キホーテ、ロフトでも販売しています。
入社3年のスタイリストに話を聞く
- Profile
- 時野谷 心
スタイリスト
ときのや・こころ/2001年6月9日生まれ。東京都出身。国際文化理容美容専門学校卒業。
――なぜヒロ銀座で働きたいと思ったのですか?
ずばり給料が高いからです。それを大きく打ち出していて、求人でもとても有名でした。
いちばんは、友だちに「一緒に入ろう」と誘われたのが大きいですね。
――そんなに有名なんですね!
はい。求人票には「売れる」って載っているし、休みの日数も多いし、目立つサロンでした。
いま同期には同じ学校だった女子が7人いるほどです。
――ちなみに美容師ではなく理容師を目指した理由は何ですか?
美容師と比べて、カット以外にもいろいろ学べそうだなと。それに女性理容師は少ないし、レザー使ってのシェービングはブライダルにも生かせます。
――入社してからの感想、いちばんうれしかったことは何ですか?
銀座本店に1年以上いて、社長と同じ場で働けるのは、他店ではできないことなので、精神面でのやりがいを感じています。
営業中は忙しくて、やることがたくさんありますが、その分に見合ったお給料をもらえます。もしこれでお給料が低かったら、「これ違ったな」と思うかもしれません(笑)。もちろん、お給料が高いだけじゃなく、環境も自分に合っていたと思っています。
――年間行事もたくさん開催されている会社ですが、感想を教えて下さい。
昨年10月にバスツアーで水族館へ行ったり、BBQをしましたが、女性スタッフは仲良しメンバーで固めてくれるので、とても楽しかったです。なかなか他店舗のスタッフと関わることが少ないので、イベントがあると仲が深まります。
年間スケジュール
3月 | 新入社員 入社式 |
4月 | 新入社員 講習会 |
5月 | 同期交流会 |
6月 | 新入社員 歓迎会 |
7月 | BBQ |
8月 | 夏季休暇(最大7日間) |
9月 | 運動会 |
10月 | 技術講習 |
11月 | 講演会 |
12月 | 忘年会 |
1月 | 新年会 |
2月 | 冬季休暇(最大7日間) |
カリスマにならなくてもいい?
以前、日本人の平均年収443万円に比べて、理美容師の年収は319万円と低いけれども、どんなキャリアパスを描くかによって、得られる年収に変化が出るという記事を書きました。
→【美容師の年収を徹底分析】2022年の平均年収は319万円
しかしヒロ銀座の場合は、落ち着いてキャリアパスを描けるような状態になる以前の「技術を磨いている段階」から頑張った分だけどんどん稼ぐことができます。しかも月最大9.5日休むことができ、休まず働けば休日手当まで出ちゃいます。そんな会社、理美容室でなくとも、どこにあるでしょうか?(あるかもしれませんが、私のいる出版業界では聞いたことがありません。)
美容師のアシスタントと言えば、“お金がないけれど、服が好きだから借金してでも買う、奨学金の返済が大変……。”だったけれども、スタイリストデビューしてやっと余裕ができた! という後々、花開く話はよく聞きます。ずっとそれが当たり前だと思って我々編集者も聞いてきましたが、少しずつ時代が変わっているのだと思います。
基本給がある上で、さらにやった分だけ稼げるというシステムは、モノにあふれ、デジタル化してゆくこの時代の若者には意外とガテン系な感じで合っているのかもしれません。ちょっとバズって有名になったり、それこそカリスマにならなくても、地道に技術を磨いて頑張っているだけで、お金に困らないゆとりと余裕のある生活ができるのです。
でもヒロ銀座は稼ぐことだけを目的にしているのではなく、社長の渡部さんの考え方(理念)がきちんと会社の風土として育っています。だからこそ、働き続けるモチベーションにもつながっているのでしょう。