JABSがこども政策担当大臣へ提言

一般社団法人日本美容サロン協議会(以下JABS/吉田靖志理事長)が6月20日、中央合同庁舎第8号館(東京・永田町)にて衆議院議員 内閣府特命担当大臣、こども家庭庁担当大臣の小倉將信(おぐらまさのぶ)氏に「女性美容師の働き方における課題」に関する報告書を手交し、面談を行った。

JABSは主に複数店舗展開をするサロンオーナーが理事を務め、行政・学校・サロンをつなぐ連絡機能としての役割を担う。今回、「女性美容師に関する報告」として妊娠・出産・子育て期間中における働き方の課題について女性美容師の声をまとめ、こども家庭庁担当大臣の小倉將信氏に手交した。小倉氏は美容サロンに関する議員勉強会事務局長であり、女性活躍担当大臣も務める。面談に参加したのは子育て中の女性美容師が多数在籍するサロンの経営者、JABS副理事長の岩田卓郎氏(株式会社エアーエンターテイメント社長)と理事の池田聡氏(カラーズジャパン株式会社社長)、事務局の山本隆太郎氏だ。

左から池田聡氏、岩田卓郎氏、小倉將信氏、山本隆太郎氏


岩田氏は子育てと仕事を両立する女性美容師は短時間しか働けないため、売り上げが伸びにくい。女性制度として特例的な待遇を提供しているものの、経営側がどこまでテコ入れするかや女性制度によって早く帰れる利点がある一方で、コミュニケーションの取りづらさなどが課題。企業によって子育て支援の範囲が異なることで、企業側もどこまで負担をするべきか迷っており、美容師が安心して子育てをするためには行政とも連携したさまざまな支援や応援が必要だと語った。

池田氏は子育てと仕事の両立は美容師だけでなく、サービス業全般においての課題だと指摘する。在宅勤務が難しく、対面サービスによる売上が給料に反映されるビジネスモデルの場合は子育てと仕事の両立が困難だ。また企業のサポートとして結婚している従業員を支援し売上の不足分を会社が補填しているものの、生活費や社会保障の上昇に追いつかず収入が直接的に改善されていないようだ。加えて育児との両立は保育所の送迎時間を考慮しながら働くため、効率的な仕事の時間が限られる。このような制約の下で働くことが収入が増加しない要因のひとつだと語った。

このことから、サービス業における子育てと仕事の両立は一般的な課題であり、加えて美容師のような技術職では制約が多く、収入の向上が難しいという現実が存在する。企業のサポートはあるものの、より具体的で生活に直結するサポートや考慮が政府に求められているようだ。


JABSからの報告を受け小倉大臣は、「美容業界は女性の割合が他の業界よりも多く、現在の日本の社会構造では、美容業界もその影響を受けている」と説明した。
共働きと育児を両立させる社会を目指している一方で、女性の育児や家事の負担は男性の5.5倍であり、これは他の先進国と比べても高い数字だ。育休取得率を見ても現在の男性は14%であり、女性の85%に比べて低い水準である。政府は男女ともに育休取得率を引き上げるために、収入の落ち込みを気にせずに育休を取れるような政策を導入している。また、育休期間後も男女ともに時短勤務など柔軟な働き方を続けることで、育児をしながらキャリアを追求できる社会を目指している。

他にも、病児保育や預かり先の問題、シングルマザーの支援なども重要な課題だと認識している。政府は病児保育施設の増加やデジタルを活用した情報提供などを通じて、子育て世代のサポートを行っている。また、中小企業での育休取得時の応援手当やシングルマザーの就労支援なども検討していると語った。

最後に、“社会の雰囲気”も重要な要素として、子育て世代が周囲からの理解や支援を受けられる環境を整えることの必要性を強調。これからも政府や自治体、そして美容業界自体が子育て世代を応援する取り組みを行い、社会の雰囲気を変えるための運動を推進していく、と環境整備に向けた方向性を再確認した。