美容師が在庫ゼロで「自分専用EC」を持てる時代へ。新しい店販モデルが始動

ヘアサロン専用EC「SALON TOWN(サロンタウン)」は12月11日、ディーラー各社と物流連携し、美容師一人ひとりが在庫を持たずにサロン専売品を販売できるサービスを発表した。物流と在庫管理はディーラー、ECシステムと会員管理は「SALON TOWN」が担い。メーカー規約に沿った正規流通の枠組みで運用する。

これまでサロン専売品のECはサロン単位で行うのが一般的だった。しかし導入時の仕入れや保管スペース、発注や在庫管理の手間がハードルになり、特に個人サロンやフリーランス美容師では取り扱いにくいという課題もあった。

加えて、顧客がサロン専売品をAmazonや楽天などサロン外で購入するケースも増えており、美容師側からは「提案した商品がどこで買われているのか分からない」「正規ルートでの販売が守りづらい」といった声も上がっていた。

美容師ごとにECがひもづく仕組み

「SALON TOWN」では、美容師やサロンが登録すると「専用のECアカウント」を付与する。顧客はサロンで案内された導線からECにアクセスし、オンラインで商品を購入できる。購入時には、顧客のマイページに表示される「会員バーコード」に購入履歴がひもづき、紹介元の美容師やサロンのアカウントに購入情報が集約される。売上の一部は紹介元に還元される仕組みだ。

商品の在庫管理と配送はディーラーが担うため、美容師やサロンは在庫を持たずに店販を運用できる。現場は「何を提案し、誰が買ったか」を把握しやすくなり、以降の提案にも集中しやすくなる。

来店客のみが利用できる登録方式

EC会員登録の不正を防ぐため、登録は「来店した顧客」に限定。ワンタイムパスワードと位置情報を組み合わせ、「サロンから半径500メートル以内にいること」「パスワード発行から1分以内であること」を満たさないと会員登録できない。招待コードの拡散や、来店実態のない登録を抑止する狙いだ。

メーカー側にとっても「どのサロン、どの美容師を通じて販売されたか」を把握しやすくなり、正規流通の透明性を高められる。

同社は「美容師一人に、ひとつのEC」をコンセプトに掲げ、2026年の本格ローンチに向けてディーラーとの連携エリアを段階的に拡大する方針だ。あわせて、個人サロン向けの予約システムも開発中で、EC、予約、顧客管理を一体化したプラットフォーム構想も示している。