中野製薬がAIで毛髪ダメージを可視化 キューティクルからダメージ度を高精度推定

ヘアケアメーカーの中野製薬は、毛髪表面を撮影した画像から、AIを用いてダメージ度合いを推定する新たな画像解析プログラムを開発した。画像内のキューティクル構造を解析することで、毛髪内部の損傷度を客観的に可視化する。現在、同技術は特許出願中で、今後は美容室での薬剤提案やセルフケア製品の選定にも応用が期待されている。

同社は、大阪の画像解析企業「KNiT(ニット)」と共同で、毛髪表面の画像からキューティクルの重なり枚数を自動推定する技術を構築した。重なり枚数は、キューティクルの損傷レベルを示す重要な指標であり、施術による影響や外的ダメージの蓄積度を測る判断材料となる。従来は研究員が毛髪断面を観察し手作業で推定していたが、同プログラムではAIによる画像解析で、より簡便かつ高精度に測定可能となった。

画像解析には、10〜70代の日本人男女約150名から採取した毛髪サンプルを使用。マイクロスコープで取得した表面画像と、断面図からの実測値を突き合わせ、AIによる機械学習モデルを構築した。これにより、画像内のキューティクル構造から得られる特徴量(形状・面積・幅など)をもとに、重なり枚数の推定が実現。将来的には、毛髪の状態推移やダメージ予測への活用も見込まれる。

ヘアサロンでは、施術に使用する薬剤選定やケア提案において、毛髪の状態を見極める技術が求められる。同プログラムにより、経験や勘に頼らない“見える化”が実現すれば、顧客との信頼性あるカウンセリングにもつながる。中野製薬では今後、同技術をサービス化し、美容室での導入に向けた検討を進めていく方針だ。