
タカラベルモントは、約10年にわたり取り組んできた印象・感性に関する研究成果を、ヘアカラー製品の開発に本格的に応用しはじめた。3月19日に開催したセミナーでは、髪色が自身の感情や行動、対人関係に与える心理的な影響をベースに、“印象設計”を意識した製品開発の方向性を共有した。
同社は2016年より、髪と心理の関係をテーマに研究を重ねてきた。2023年には、大阪樟蔭女子大学の松下戦具教授との共同研究によって、“派手髪”が他者にポジティブな印象を与えるという調査結果を日本顔学会で発表。髪色が「自己表現」や「見た目の演出」にとどまらず、社会的な関係性や感情に作用することを示してきた。

セミナーでは、化粧品研究開発部 第二研究所の山下萌絵氏が登壇。派手髪による容姿の変化は、対人印象だけでなく、本人の行動や人間関係にも影響を及ぼすという研究結果を解説した。一方で、ブリーチを用いたハイトーンカラーの市場利用率は、コストやダメージ懸念から横ばいが続いており、顧客は透明感のある明るい色味を求める一方で、美容師にとっては明度や発色の再現性が難しいといった課題があるという。
そうした研究と市場背景を踏まえた製品の一例として、ヘアカラーシリーズ「エドル」の新色「ディープクリアカラー」を紹介。同製品は印象・感性研究の成果を活かし、約3年の開発期間を経て誕生。高彩度の透明感を保ちつつ、色の深みをコントロールしやすい処方で、印象に寄り添った提案ができる。

登壇した松下教授は「装いとは身なりを整えることであり、人との関わりを象徴する営み。髪型や髪色もまた、人間の根幹に関わる表現手段のひとつ」と述べ、印象・感性を軸とした美容の可能性に言及した。
タカラベルモントは今後も印象研究と製品開発を接続し、サロン現場における“なりたい印象”に寄り添うヘアカラー提案の価値を高めていく考えだ。