Z世代の“ごめんね消費”とは 環境意識と価格重視が生む新たな課題

美容業界にも影響を与えかねないZ世代の消費トレンドに新たな注目が集まっている。Z世代に特化した企画・マーケティングを行うシーミント(seamint.)が行った調査によると、Z世代の4人に3人が「ウルトラファストファッション」の購入経験を持ち、そのうち約半数が環境への悪影響を認識しながらも消費を続けていることが明らかになった。いわゆる「ごめんね消費」の実態だ。

ウルトラファストファッションとは、オンラインで購入できる1着1,000円程度の安価なブランドを指し、”安くて可愛い”と特にZ世代で人気が高い。しかしその生産背景には有害化学物質や過酷な労働環境といった環境問題が横たわる。この事実を知りながらも、Z世代が「価格の安さ」「失敗してもよい気軽さ」を重視しつい購入してしまう心理が調査で浮き彫りになった。

「ごめんね消費」が示唆するのは、価格に敏感なZ世代の価値観だ。美容業界が値上げや高単価なサービスを打ち出す一方で、Z世代は「手頃な価格」「高い費用対効果」を重視する傾向がある。これらのニーズに応えるためには、価格帯だけでなく、提案内容やサービスそのものの納得感をどう高めるかが重要となるだろう。

また、Z世代の環境意識は単なる流行ではなく彼らのライフスタイルに深く根付いている部分も見逃せない。実際に彼らの約25%は環境への影響を意識して購入を控えているのが分かる。ヘアサロンにおいても「環境に優しいカラー剤」や「サステナブルなパッケージ」を採用するなど、具体的な行動を伴った取り組みが消費者の支持を集めるかもしれない。

ウルトラファストファッションのトレンドは、価格重視の消費者心理を改めて浮き彫りにしたが、同時に環境への配慮を求める声が高まっていることも事実だ。相反するニーズに応えることで、美容業界が次世代の消費者に響く新たな提案を生み出す契機になるかもしれない。