「最期までカリスマだった」アピッシュ坂巻哲也 お別れの会
3月29日に逝去したアピッシュ 坂巻哲也社長(享年61)の「お別れの会」が6月17日、ザ・リッツ・カールトン東京で行われた。腎臓癌を宣告されてから1年10カ月の闘病生活であったが、一度も弱音を吐くことなく、最後まで生きることを諦めなかったという。
坂巻哲也さんは1998年、裏原エリアに「アピッシュ(apish)」を設立。独自の技術理論を用いたカットやパーマで支持を集め、美容業界のエンターテイナーとしても活躍。薬剤や美容機器の研究開発にも携わり、スタイリング剤やヘアウイッグ、コサージュなどのプロデュースも手掛けた。テレビや雑誌などにも多数出演し、美容師の活躍の幅を広げた唯一無二の存在であった。
現在は青山、表参道、銀座などに10店舗を展開。早くから社内独立制度やママ美容師制度を整えるなど、経営手腕も発揮した。
弔辞を読んだ蒲生 茂会長(ガモウ)は、「カリスマ美容師として華々しい印象の一方で、大変な努力家であり、夢の実現へのこだわりは人一倍強かった」と坂巻さんとの思い出を振り返った。
テレビ番組「ビューティコロシアム」がきっかけで親しくなったという、たかの友梨代表(たかの友梨ビューティクリニック)は、ゴルフやカラオケでのエピソードを交えながら故人を偲んだ。「マッキー(坂巻さんの愛称)は優しさと真面目さと情熱に溢れた人。スタッフ思いで、いつもスタッフのことを考えていました。若い方に送られて、若いまま、素敵なまま亡くなったマッキー。すごくいい人生だったね」と天を仰ぎ、メッセージを贈った。
スタジオV時代に後輩だった森内雅樹代表(アンアミ)は坂巻さんとの出会いから、ともに切磋琢磨してきた撮影現場や若い美容師に夢を与える業界の仕事を振り返りながら、「坂巻さんとはライバルだった。同じ時代を過ごした同士であり、掛け替えのない存在だ」と語った。
さらにミュージシャンの石井竜也さん、野沢道生代表(Michio Nozawa Group)のビデオメッセージが流れ、一堂に会した業界関係者は、情熱を絶やさず、まっすぐな思いで美容に取り組む坂巻さんの姿に思いを馳せた。
締めくくりに、アピッシュの新体制が発表された。
株式会社アピッシュ ホールディングス 兼 株式会社アピッシュ 代表取締役社長に網野一廣、同取締役副社長 兼 株式会社T.sakamaki Academy 代表取締役社長に佐藤 大、ECがメイン事業の株式会社T.sakamaki Design Factoryの代表取締役社長に坂巻拓也が就任した。
ホワイエでは坂巻さんのステージ衣装やシザーズ、常に持ち歩いていた「夢確認ノート」が展示され、坂巻さんの等身大パネルには坂巻さんとのラストショットを撮影すべく多くの来場者で賑わった。