中野製薬がサスティナブルに配慮した新工場を建設
中野製薬の親会社であるNAKANOホールディングスが、新たな頭髪化粧品および医薬部外品製造工場を4月15日に竣工。同工場は滋賀県草津市の現工場の隣地に建設された。
新工場は「SMART・SUSTAINABLE・WELLNESS」をコンセプトに下記のポイントに重きを置いた。
①高効率・高品質な生産が実現する先進性
【ISO22716(化粧品GMP)※に準拠】
調合・充填室はクリーンルームを導入し、生産工程に求められる、衛生レベルに応じたゾーニングを実現。クリーン環境の調合工程によって製品の品質や安全性に関する高い基準を満たすことで、お客さまの安心感を醸成し、高い信頼を得ることを目的としている。
※化粧品の製造に関する品質・安全性に関する国際規格。製造メーカー(化粧品業界の場、製造販売業者も含む)に求められる製造管理・品質管理基準に関する「適正製造規範」であり、化粧品を製造するにあたって、原材料調達・検品、調合、製造、包装、出荷検査、出荷管理、回収対応などの一連のプロセスに関しての管理基準として認知されている。
【製造実行システム(MES)導入】
製造実行システム(MES)を導入し、多品種変量生産のノウハウをITシステムで管理。生産プロセスを最適化することで、製品品質の安定を目指す。
② 自然環境と共生するサステイナビリティ
【CASBEEの取得】
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)※において、環境効率指標BEE=1.5のAランク(大変良い)の取得を目指す。特に敷地内の室外環境や、資源・マテリアルの環境負荷低減に配慮することで、よりサステイナブルな生産プロセスを構築するとのこと。
※建築物の環境性能で評価し格付けする手法。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステム。
【クリーンな生産を支えるサステイナブルな排水処理技術】
処理した水を脱水機の洗浄水に使用し、水の使用量を抑えるエコシステムを独自で設計。自在な生産(変種変量生産)を支える排水処理技術により、水質汚濁の防止、排水量の削減、処理に要するエネルギーの削減に取り組む。
【地域共生への取り組み】
エクステリアには、滋賀県の琵琶湖周辺で長く愛用されてきた天然素材の葦簀(よしず)をモチーフに、強い陽ざしを遮断しながら心地よく風を通す機能を持たせた「YOSHIZU SKIN」を採用。
新工場の顔となるエントランスでは滋賀県の焼き物である「信楽焼タイル」張りのアクセントウォールが来客を迎え、地域と共生する企業姿勢を表現した。その他にも、エントランス内の壁には、現工場の外壁に使用されているレンガを移植し、デザインの一部に組み込むなど長きに渡り高品質・高い安全性を追求してきた志の継承を企図した。
③ 従業員が誇りを感じられる人にやさしい環境
【従業員が日々の仕事を誇りに思い、健康に働くことのできるワークプレイス】
クリーンルームを含む衛生区分により管理された作業環境は、働きがいを感じられるワークプレイスとなる。食堂・事務所の南面は全面ガラスで前庭を望み、季節の変化を感じられる憩いの空間。従業員のために更衣室やトイレなど毎日使用するアメニティスペースも十分なスペースを確保し、すべての従業員が働きやすい環境づくりを目指した。開放感があり、リフレッシュしながら働くことができる空間づくりで、従業員1人ひとりの新たな発想を期待したとのこと。
5月13日に、工場見学会を実施
このたびの新工場竣工を受け、5月13日に見学会を実施した。当日は4回制で業界内外から見学者が来場。各グループが約1時間にわたり新工場の説明を受けた。
見学会の冒頭では、中野製薬の中野耕太郎会長と中野孝哉社長が挨拶。
まず、中野会長は「1973年に旧草津工場を稼働させ約50年。30年ほど前から増設を意図して土地を取得し、この日に備えてきた。新工場は1年後の本格稼働を予定している。メーカーとして、お客さまに喜んでいただける商品をいかに安定的に供給できるか。これからも業界のお役に立っていきたい」とコメント。
次に、中野社長は「この工場は弊社が化粧品メーカーとして10年、20年、30年後もやっていく屋台骨となる。化粧品メーカーとしてトップクラスの工場を持てたのではないか?と感じている」と話した。
最大3トンのタンクを有するなど生産能力はこれまでの倍となる年間2000~2500万本を見込む。
同社のコーポレートスローガン「日々 美を ともに」が散りばめられている
【新工場概要】
所在地:滋賀県草津市南山田町63番地の1
敷地面積:約16,800㎡
延床面積:約8,500㎡
建築面積:約6,000㎡