酸熱トリートメントなどに使用「グリオキシル酸」に急性腎障害リスクの懸念

フランスとイスラエルで、グリオキシル酸を用いたストレート技術後に急性腎障害を発症した複数の症例が報告されたと日経メディカルオンラインなど一部メディアが報じた。

記事によると、イスラエルでグリオキシル酸誘導体を用いたストレート施術を受けた26人が、重症の急性腎障害を発症した事例が報告された。その多くの患者の尿細管内にシュウ酸カルシウムの沈着と尿細管の損傷が認められ、急性シュウ酸腎症と診断された。これまで、グリオキシル酸が経皮吸収されて急性腎障害を生じさせる可能性については、ほとんど検討されていなかったという。

フランスでも、医学博士のトーマス ロバート氏が同様の症例をNEJM誌2024年3月20日号にCorrespondence(論文へのコメント)として報告。そのリポートには動物実験において、グリオキシル酸が経皮吸収され腎臓に悪影響を与える可能性が示唆されている。同氏は「グリオキシル酸を含むストレート施術用製品が急性腎障害を引き起こし得ることが示唆された。この成分を含む製品の使用は避けるべき。市場からの回収を提案する」と述べている。

日本でも、「酸熱トリートメント」によるグリオキシル酸を用いた髪質改善が行われており、従来のチオグリコール酸塩と過酸化水素を用いた縮毛矯正技術よりも髪へのダメージが少ないと近年注目を集めている。また、近年ではホームケア製品などにも同成分が含まれている。

今後の動向に注視したい。

NEJM誌「Kidney Injury and Hair-Straightening Products Containing Glyoxylic Acid」