「昔から1日で3日分くらい生きたいと思っていて。それはどこかに行くときも、誰かに会うときも。ローカルの楽しさと充実感って1日にいろんなシーンを詰め込めることなんじゃないかと思うんですよね。最近なんとなく自分の中でみえてきました」
その言葉通り、この動画ではたくさんのシーンが映し出される。海、美容室、家、ハサミ工場、動画撮影スタジオ。どのシーンにも違う「由藤秀樹」が映り込む。
美容師としての由藤さんは、1998年に神奈川から新潟に帰り、現在新潟市内に[SNIPS(スニップス)/新潟県新潟市]ブランド4店舗を構えるオーナー・スタイリストだ。
「技術とデザインは、中央とかローカルとか関係なく僕がずっとつきつめてきたこと」その言葉通り、その技術は『日本でトップクラスだ』と全国の美容師からも評価される。
どう考え、どう行動し、今何を発信しようとしているのか。ローカルに生き、ローカルで愛され、ローカルで活躍したいすべての美容師にみてほしいドキュメンタリー番組。
SNIPS 由藤秀樹のローカルライフスタイル
ローカルな場所でしかできないことがある

「ローカルな場所でしかできないことがある」新潟の地へ帰ってきた由藤さんは語る。
朝起きて今日はどんな1日にしようか考えることこそ「クリエーション」だと言う由藤さん。
日本トップクラスの美容師は生活の中でも常に創造を求めて止まない。
「誰も手が届かない」美容師になるために

美容室での他のスタッフ、店に足を運ぶ常連客からの信頼はもちろん厚い。
ただカットが上手いというだけではなく、髪が伸びてからのことを計算し尽くされているというカットは常連客からの評価が高い。
「誰も手が届かない」他のスタッフが口を揃えて言う圧倒的な技術力はもちろん簡単に手に入ったわけではない。
その背景には底知れない努力があったようだ。
その証拠に「クリエイターとは一年中、一日中そのことを考えて、脳から離れない人たち」と由藤さんは語る。
学生時代は誰が畳んだのかわかるくらいまでにタオルの畳み方ひとつでも他の学生と差をつけようと競争心に燃えていたという。
その頃からの情熱の強さゆえに、今のカリスマ美容師としての姿があることは明らかだ。
道具への徹底したこだわり

ハサミ工場へいつものラフな格好で、まるで自分の店のように入っていき、従業員の肩をさする。
その様子を見ているだけでもハサミ工場の人たちとの信頼関係の厚さが伺える。
「由藤さんもやっぱり職人なのかな」本当のハサミ職人に「職人」とまで称されるほど、ハサミ1つにしても徹底したこだわりを見せる由藤さん。
学生時代からの周囲と少しでも差をつけるという意識は今でもしっかりと根付いている。ハサミ職人との信頼関係もその1つだろう。
妻から見たカリスマ美容師

由藤さんのことを一番よく知る妻から出た言葉は「美容バカ」。
「この人から美容を取ったら何も残らない」妻だからこそ言える言葉であるが、実際コロナの時は喪失感に苛まれ、家でぼんやりする日が続いていたという。
そんな旦那の姿を見るのが嫌だったという由藤さんの妻は「何度も叱りました」と振り返る。
美容の道一辺倒で進んできた由藤さんでも妻の支えがあってこそ、50歳を超えた今でも現役で活躍し続けられるのだろう。
コロナをきっかけにオンラインセミナーを開始

コロナをきっかけに始めたという動画配信は今までリアルで会ってきた人への恩返しのつもりで始めたという。
直接会いに行けない由藤さんの技術をネットを介して学べるのは貴重だ。
遠く離れた広島では由藤さんのオンラインサロンを受講するジュニアアシスタントの女性がいる。
自身が受け持つ、髪の悩みを抱えたお客に対するアプローチが学べてありがたいと話す。
次世代を担う美容師へ
「しがみついてでも生き残っていくんだ。それが一番の才能。」と語る由藤さん。
次世代を担う美容師には「人の体を扱う仕事。覚悟がないなら早く辞めた方が良い」と厳しい一言も。
「その代わり、上手くいった時にはものすごくダイレクトにお客さまからも、自分自身も自己充足感を感じる素敵な仕事。頑張って欲しい」と愛のあるラストメッセージを送った。
