11/1発売のNEXT LEADER 12月号の特集テーマは「すごい店長・幹部」。時代の変化が早く、価値観の多様化が進んでいる今、トップの指示を忠実に実行する店長・幹部だけではなく、理念を共有しながらサロンに新風を吹き込む店長・幹部への期待が高まっています。トップが想定もしない角度からの発想は大きな成長をもたらすだけでなく、組織のボトムアップを加速させる要因に。店長から幹部まで、サロンを変えたイノベーターの仕事術に迫ります。
【編集部の取材ウラ話】
本誌は「NEXTはスタイリストのNEXTを応援します!」というキャッチフレーズがあるように、長年オーナーの右腕となる店長・幹部の育成をテーマに掲げてきました。近年はやや経営者向けの特集テーマが多かったので、久し振りに「店長・幹部」の特集を組んでみました。
全国各地のサロンを取材する中で、有能な店長・幹部の方を紹介していただく機会も多く、今回どのような人選をしていくべきか迷ったのですが、基本的にオーナーの指示だけではなく、ゼロイチで価値を創造できる7名のリーダーをチョイスしました。
まず1人目はMINXの統括マネージャーである菅野久幸さん。菅野さんといえば、スタッフマネジメントの一環としてメンター制度を導入し、MINX銀座店を軌道に乗せたイメージがあります。そんな菅野さんに令和の店長・幹部の役割を伺ってきました。印象に残っているのは「両利きの経営」。右手ではこれまでMINXが積み上げてきた文化や価値観を深掘りしていき、左手では今までになかった新しい価値を探して形にするというもの。直近のMINXの取り組みなど、まさに今回の特集テーマにぴったりな話が聞けました。

次に紹介するのは福岡県のVOTANグループの取締役・石橋輝一さん。現在33歳ながら、東京進出など同サロンの成長を牽引してきました。外部とのつながりを広げ、ビジネスを拡大させていくのが石橋さんの持ち味。実は僕は2018年に一度オンラインで取材したことがあり、その頃からめちゃくちゃできる人だなあと思っていました。取材のリアクションも早いし、回答内容も的確、それでいてリーダーシップもある。陰ながらずっと注目していたのですが、やはり相応のポジションにつくのだなとあらためて思うとともに、こういう人材を手放さずに一緒に夢を描ける大空将代表の人間性やリーダーシップが気になっている今日この頃です。

3人目はsandの横浜エリア代表・天川貴之さん。天川さんは2022年の年末商戦を取材したことがあり、自身は総売上1533万円のギネス。横浜店の12月売上が4383万円(当時スタッフ20名)という驚異的な記録を打ち立てました。取材で印象に残っているのが、記録に挑戦した理由について、「自分が入社した頃のsandの勢いや熱気を再現したかった」」と言っていたこと。決して数字ではなく、sandの根幹にある文化や風土を取り戻すためのチャレンジ。サロンが大きくなるとどうしても最初の勢いや人材力というのが薄まってしまいがちですが、sandは実際にそうならずに持続成長している印象があります。今年から横浜エリア2店舗の代表となった天川さん。現在は「必ず全員が売れるサロンづくり」をめざしているとのことです。
4人目に紹介するのは大阪のアパカバールの営業本部長・奥野勇気さん。奥野さんに注目したのは、同サロンのリクルート対策の話を聞いてから。今でこそSNSを活用した採用活動が当たり前になりましたが、奥野さんは問い合わせ用のLINEをbot化。学生からの問い合わせに自動返信、サロン見学などに誘導できる仕組みを導入し、郊外サロンながら採用人数を増やしました。さらにここからが奥野さんのすごいところ。採用人数は増えたものの、早期離職が増えてしまったため、昨年は再改革を敢行。理念に共感する学生を集めるターゲット求人にシフトし、以降は離職者ゼロ。「定着する採用」へと進化した同サロンの求人改革は今後のトレンドになりそうです。
5人目は女性リーダーの登場です。鳥取県のSMITHの取締役・高橋美貴さん。高橋さんは美容師ではなく、前職は同サロンの松江店に隣接するスターバックスのバリスタ。河上彰利代表が高橋さんの接客に感動し、スタッフ向けの接客セミナーを依頼をきっかけに入社したとのこと。入社当初はレセプション業務を中心にしていましたが、今年7月、取締役に就任後はレセプション業務はほぼ退き、地域活性化のイベント参加や採用活動、SNS更新、動画作成などマルチに活動中。来年にはグループ会社を立ち上げ、代表を務める予定です。

最後に紹介するのは佐賀県のヘッズファクトリーのゼネラルマネージャー・松尾耕一さん。今回は8月に行った店内イベント「ビューティマルシェ」の成功というストーリーで取材しました。人口4万7千人という佐賀県武雄市に本拠を置くヘッズファクトリーはまさにローカルサロン。オーナーの井上興佐代表は、情報収集のために全国各地や海外を飛び回らなければならないため、サロンの現場はほぼ松尾さんが統括しているとのこと。ビューティマルシェの成功によって、8月の売り上げが12月の売り上げを上回った同サロン。「本当はやりたくないんです(笑)」と愚痴をこぼしながら、新たな挑戦をして昨年同様の成功を収めた松尾さん。こういう人柄だからこそ、スタッフの信頼を集めているのだなと思いました。
取材していると、本当に多くの有能な店長・幹部の方々を紹介されるので、今回は全国各地のネクストリーダーをさらに7名紹介しています。サロンを成長させる右腕育成のために、ぜひ今回の特集をお役立てください!
<今月のコンテンツ>
・10年前とこんなに違う! 令和のネクストリーダー像
・令和の店長・幹部の役割とは?(菅野久幸/MINX)
・柔軟な発想でアイデアを実現させる(石橋輝一/VOTAN GROUP)
・誰も置き去りにしない全員勝利の方程式(天川貴之/sand)
・継続的に成長し続けるための求人PDCA(奥野勇気/APA KABAR)
・美容室を拠点に山陰を元気にする(高橋美貴/SMITH)
・ローカルサロンの強みを活かしたイベント集客(松野耕一/HEADS FACTORY)
・店長・幹部のネクストスターたち
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- 執筆者
- 渡辺 淳司
「NEXT LEADER」編集長