髪の毛が洗えない時のコロナ対策

髪の毛が洗えない時のコロナ対策

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髪にもウイルスが付着します。そこで、カラーした日でもウイルスを洗い流すためにシャンプーしていいか聞かれたらどう答える? という記事を書いたところかなりたくさんの人に読んでいただきまして、弊サイトではトップ人気の記事になりました。

当然湧き上がってくるのが「逆に髪が洗えない時はどうすればいいの?」という疑問。

病気やケガ、体が不自由、高齢で危ないなどなど、“髪が洗えない”状況はたくさんありますよね。もっと深刻な想像をすると、このコロナ禍の中で自然災害まで起こったら?

手で触りがちな髪の毛にウイルスがついている不安は拭いたい!かなりたくさんの人が「コロナ 髪が洗えない時」で検索してます。美容師さんにはバシッと答えていただきたいところ。

対策方法をお伝えします!

洗えないならアルコール(エタノール)消毒

髪の毛を洗える状況であれば、流水によって物理的にある程度のウイルスを洗い流すことができ、さらにシャンプーの界面活性剤が新型コロナウイルスの脂質の膜を壊して不活性化してくれます。あぶら汚れみたいですね。

髪の毛を洗えない場合は流水も界面活性剤もナシなので、何か薬品でウイルスを不活性化する必要があります。というわけでアルコールの出番です。

新型コロナウイルスの消毒に必要なアルコール濃度

消毒で使用するアルコールの濃度について、日本薬局方(医薬品に関する品質規格書)や美容師法施行規則では76.9~81.4%、WHOガイドラインでは60~80%と定めています。これらはいろんなウイルスや細菌に広く対応するための濃度(ちなみにこれ以上濃度が高いと不活化できなくなるウイルスがあります)。

新型コロナウイルス単体については、北里大学が2020年の研究で以下のように発表しています。

  • 接触時間:1 分
  • 不活化効果あり:50%、70%、90%エタノール
  • 不活化効果なし:10%、30%エタノール
  • 接触時間10 分でも同様

北里大学によるプレスリリース「医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について」2020年4月17日発表、2021年5月7日閲覧

方法としては、ドライシャンプーorアルコールで拭き取り

いずれも、入院・介護・被災など、髪の毛が洗えない状況で清潔を保つために行われている方法です。除菌・消臭のために、頭皮や髪の皮脂や汚れにアプローチするので、脂質の膜を持つコロナを不活化するためにもそのまま使えます。

手軽で肌も傷めにくい処方になっているが、アルコール濃度が薄いかもしれないドライシャンプー

VS

確実に必要なアルコール濃度で消毒できるが、肌に負担をかけるアルコール清拭

って感じですね。

髪が長い場合はアルコールのついた毛先が顔や首回りに触れて肌に影響を及ぼす点にも注意してください。

ドライシャンプーが手軽

ドライシャンプーには通常アルコール(エタノール)が含まれる

ドライシャンプーはエタノールで皮脂を分解してさっぱりさせるのが基本です。ヘアトニックと似たようなことですね。また、水が使えない状況での使用が前提ですので、すぐ乾くように揮発性の高いアルコールを使うという理由もあります。

エタノールが含まれるドライシャンプーであれば、あとは濃度が問題。使いたい商品の濃度を確認してみましょう。

効果は未評価な点に注意

病院内感染の原因菌の消毒には効果があるという実験結果はありますが(※)、ドライシャンプーの消毒効果は未評価です。

使いたいドライシャンプーのアルコール濃度を確認しつつ、

絶対に消毒できるというよりは、手軽に、アルコールで髪や肌が傷むリスクを軽減しながら、リフレッシュ目的も兼ねながら、消毒効果も期待できる、と考えて使用するのがよさそうです。

※「頭髪に付着した院内感染起因菌の生残にシャンプー洗髪が与える影響」日本看護研究学会雑誌29(5)、19-25、2006「高齢患者の頭髪細菌汚染状況と感染予防を目的とした洗髪方法の検討」順天堂医療短期大学紀要12(24)、46-54、2001

店販向け商品もあるよ!

質の高いサロン専売品をお客さまに提案するのも、お客さまにとってメリットになると思います。

あえて悪い想像をすると、コロナ禍の中で災害が起きると、人が集まって非難せざるを得ず、感染リスクの高い環境が生まれてしまいます。災害対策に、非常持ち出し袋に入れて! と提案してもいいかも。(私もこれを書きながらドライシャンプー購入&持ち出し袋にinを決意しました……)

アルコールで拭くと確実

看護などの分野では結髪と呼ばれるスタンダードな方法です。薄めたアルコールを布などに含ませ髪を拭き清めます。70%を指定する参考書などもありますが、50%程度のアルコール濃度で行うことが多いようです。

濃度を管理できるので確実ではあるのですが、セルフでは難しくかなり手間な方法。いつウイルスが付着するかわからない感染対策という面を考えると、不安を感じたらすぐに実行できるドライシャンプーのほうが適切かもしれません。

どの程度のアルコール濃度まで大丈夫かは体質によりますので、慎重に試してみてください。

なるべくウイルスが付着しないような対策もしよう

帽子やスカーフで髪の毛を覆えば、外側の布だけ処理すればいいので簡単です。前髪だけ出すなら前髪だけ清拭すればいいですしね。

特に家庭内感染を警戒する場合は、こちらの方法をとったほうが効率よく防げると思います。

ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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