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1人当たりの生産性が1年間で約2倍に! その秘密は“環境整備”

社内を変える、人を変える

経営改善に欠かせないキーワードの1つ“環境整備”をご存じでしょうか。

※この記事は、髪書房WEBZINEにて2016年3月に取材・掲載したものです。

 

“経営改善” “環境整備”と聞くと堅苦しい・難しいというイメージを持たれる方も多いかと思いますが、ここでの“環境整備”とは、掃除を通じて、作業の効率化や業務の見える化を図り、環境を良くする習慣と気づく力を養う活動を指します。自分たちが置かれている環境をキレイにするという当たり前の行為が、結果として、社内のコミュニケーションの円滑化・人間力向上・コストダウンにつながることが実証され、多くの経営者が注目するキーワードとなりました。

そんな環境整備に取り組み、2014年から2015年の1年間で1人当たりの生産性を54万円から94万円、そしてサロン利益率を2倍にアップさせた美容室F.PARADEを取材しました。今年(2016年)の3月に九十九里浜での新店舗オープンを控え、5月で創立4周年を迎える(計3店舗、スタッフ総数18人)、いま勢いのある美容室です。F.PARADEが環境整備に着目したのは2014年11月のこと。環境整備の講習を行っている一般社団法人日本そうじ協会の掃除道講座へ代表の長谷川竜太さんが通い始めたのが始まりでした。掃除動講座では2級、1級ごとにコースがわかれており、月1回の講習に半年間通うことで級を取得できる仕組みになっています。長谷川さんは現在1級を取得しており、社内では他2名が2級の講習を受講中です。そんな環境整備に熱を入れているF.PARADEの取り組みをご紹介する前に、環境整備の基本となる5Sを説明しましょう。

環境整備における『基本の5S』

・「整理」:いる物といらない物を区別すること
・「整頓」:物を取りやすい位置に置くこと
・「清掃」:ほこりを無くして空気環境を整えること
・「清潔」:物をキレイに磨き上げること
・「躾」:自分自身の身の回りを管理すること

以上5つが環境整備を行う上で必ず覚えておかなければならないことです。ものが多く、常に人が行きかう美容室にとっては非常にハードルの高い『基本の5S』。ややもすれば、「会社の指示だからしかたない」と消極的なスタッフが出てきても仕方のない取り組みですが、“全員でエンターテイメント”という経営理念を持つF.PARADEは独自の方法で、言葉通り、環境整備を“全員でエンターテイメント”に仕上げました。

その立役者は名付けて、『F.PARADE軍 最強武将軍団』。

彼らは半年に1度開催される掃除週間を“無上位に磨き上げる7日間”として、1日目『赤札作戦(=いらない物に赤札をつけ、断捨離を行う日)』、2日目『水場の乱(=水回りの清掃をする日)』、3日目『厠の乱(=トイレを磨き上げる日)』……と命名し、営業前と営業後の計3時間かけて1日1カ所を徹底的に掃除していくのです。掃除後には、おにぎりやお菓子などの食べ物が配られるという嬉しい報酬もあります。

(上記写真は、1日目の赤札作戦の様子。不要だと思うものに赤札を貼り、全員で確認をします)

 

また毎日の取り組みとして、Facebook上に掃除報告を投稿するルールがあります。基本的には、1日1人1回の投稿。サロンワークを行う中で「もっとここがキレイになっていれば」「ここに物を置くとサロンワークがスムーズに進行できるはず」など、1人ひとりの気づきを大切にしています。1年間でFacebookに投稿された記事は6,000件にも上り、1人当たり330件の環境整備を行っていることがわかります。

 

そして、チームが一丸となって環境整備を行うことで、店内の二酸化炭素濃度にも変化が生まれました。室内中の二酸化炭素濃度が高くなると、頭がぼんやりするだけでなく思考能力や判断力の低下につながる可能性があるとも言われているため、F.PARADEでは、一般的に空気がきれいと言われている目安である700ppm以下を目標とし、(写真の数値は640ppm)。二酸化炭素濃度計を店内中央に設置することで、常に空気環境をチェックできるようにしています。

二酸化炭素濃度を適正に保つポイントは、ほこりをなくすこと。日々の清掃だけでなく、どこからほこりが入ってくるのか、どこからほこりが発生するのかを分析することが大切です。

また、コストダウンの面でも環境整備は効果を発揮します。1歩は1円、1秒は1.6円と定義し、個人単位で、業務中の動きに無駄がないかを見直します。導線上に物を置かない、スムーズに物を出し入れできる環境をつくることで、一人ひとりの節約する時間は微々たるものでも、お店全体で考えると膨大な時間の節約、つまりは大幅なコストダウンが可能です。

F.PARADEの場合は、シザーズやスタイリング剤など、日々使う物を定位置へ置くように環境整備を行いました。

忙しいときほど、物を探す時間は惜しいもの。決められた場所に整頓することで、今まで無駄にしてきた時間をお客と向き合う時間に有効活用することもできるようになるのです。

お客の洋服を掛けるハンガーの位置や椅子の位置、掃除道具の保管場所もマスキングテープで決めることで、見栄え良く、キレイがずっと続く環境へと導いていきました。

 

そんな環境整備にスタッフ全員で力を注いだ結果、F.PARADEは、今年の2月24日(水)に行われた「掃除大賞2016(一般社団法人そうじ協会が主催している、文部科学大臣賞もある由緒正しき大会)」でホスピタリティ教育賞とコンテスト大賞の2つを受賞しました。その内のホスピタリティ教育賞とは、環境整備を通して社員の心の教育をした企業に贈られる賞です。スタイリストになるまでに自分の価値を見出すことが難しい美容業界でありながら、環境整備を通しアシスタントがスターになれる場をつくったことが認められ、この賞が贈られたのです。

今回の大会にエントリーした企業はおおそそ100社。書類審査からプレゼンテーションまでの予選大会を行い、勝ち残った6社のみが舞台に登壇することができる長い道のりの大会です。その中で、F.PARADEは最終候補社の1社として2つの賞を受賞。エントリーした企業のほとんどは美容業界外ばかりの中、素晴らしい結果を残したのです。今回の受賞は、美容業界に何らかのきっかけを与えてくれる出来事になったと感じました。

環境整備には「これで終わり!」というゴールはありません。だからこそ、F.PARADEの環境整備も日々進化し続けています。新たな経営指針の確立、人間関係の築き方、そして環境を変えるという今までにない価値観をさらに見出してくれると期待します。

月刊BOB編集部

AUTHOR /月刊BOB編集部

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